第41話
「光装竜があんなに? 一体いつの間に……?」
「嘘だろ? 俺はてっきり全部スターズ・レッド・エクレクスと一体化したと思っていたから……。こんなことならヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力は使うべきじゃなかったな……」
ヒカルがいつの間にか新たに現れた光装竜のモンスター達を見て呟くと、栄人は自分がヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力を使うタイミングと対象を間違えたことに気づく。
「……十輪寺君? もう一回、特殊能力でモンスターの数を減らせたりはできない?」
「今すぐには無理ですね。さっき特殊能力を使ったばかりですから、デッキから手札が補充されるまで少し時間がかかります」
タツミがダメ元で栄人にもう一回ヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力を使えないか聞くが、やはり栄人の手札はゼロのままでデッキからカードが補充される気配はなかった。
「こうなったらスターズ・レッド・エクレクスは攻撃対象から外して、新しくやって来た光装竜を一体ずつ倒していくぞ。光装竜は防御系の特殊能力が豊富だから必ず一人じゃなく複数で攻撃していくんだ」
「え? スターズ・レッド・エクレクスは無視するの?」
栄人が全員に支持を出すとミサキが首を傾げて聞いてくるが、それに対して栄人は首を横に振って答える。
「無視するわけじゃない。攻撃対象から外すだけで、全員スターズ・レッド・エクレクスには常に注意しておいてくれ。スターズ・レッド・攻撃を仕掛けてきた時が俺達が勝つ絶好のチャンスだ」
「私達が勝つ絶好のチャンス? ……ああっ、そう言うことね」
「……あっ!」
「そういうことか」
最初は栄人の言葉の意味が分からなかったが、すぐにタツミが栄人の狙いに気づき、それに少し遅れてミサキとヒカルも気づいて、この場にいる栄人以外の全員がヒカルが乗っているスターズ・レッドに視線を向ける。
スターズ・レッドの特殊能力の一つ、自分のエナジーをゼロにすることで相手からの攻撃によるダメージをゼロにして、更に相手のリーダーモンスターの攻撃力と自分のリーダーモンスターの防御力を合わせた値と同じダメージを相手のライフポイントに与える「スターライトスケイル・オールリフレクション」。
相手の攻撃力が高ければ高いほど相手に多大なダメージを与えることができる上に、特殊能力の効果は対象外のカウンター能力。スターズ・レッド・エクレクスが攻撃を仕掛けてきた時にヒカルがこれを発動すれば十分に勝機はあると栄人は考えていた。
先程栄人は呼び出された光装竜の全てがスターズ・レッド・エクレクスと一体化したと思ったため、相手が使う特殊能力の種類を減らす目的でヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力を使ってサポートモンスターを減らした。だがまだ呼び出した光装竜が残っていると気づいていたら、スターズ・レッド・エクレクスの一体化はそのままにしておいて、カウンターで与えられる予測ダメージを多くしていたのだが、今更そんなことを思っても全ては遅かった。
「スターズ・レッド・エクレクスは『ヴォルダイブ・エクスプロージョン』の効果でいくらか体力が減っているはずだから、ヒカルがスターライトスケイル・オールリフレクションを決めればなんとかなる……はずだ」
「あれか……」
他のカードの効果で破壊されると相手のライフポイントに二ポイントのダメージを与えるという、泳炎竜が共通して持つ特殊能力「ヴォルダイブ・エクスプロージョン」。
先日栄人と戦った時にその特殊能力の効果を味わったヒカルが苦い顔となって呟く。
ヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力でスターズ・レッド・エクレクスと一体化した光装竜五体を破壊した時に、ヴォルダイブ・エクスプロージョンの効果で普通のモンスターならすでにカードと化してもおかしくないダメージを受けているはずだった。それでもまだ戦えるだけの余力を持っているのは流石は「王」の称号を持つモンスターの一体だと栄人は思ったが、決して無傷ではないため栄人が勝機があると考えた理由もそこにあった。




