第40話
「俺が笑っている……?」
タツミに自分が笑っていると言われた栄人は、こんな危機的状況で自分は笑うはずがないと思いつつ手で口を触れてみると、確かに口角が上がっているような気がした。
「……いや、これは単なる苦笑いですよ。こんな状況だともう笑うしか……っ!?」
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーーーーーーッ!」
『『……………っ!?』』
栄人がタツミに言う、というより自分自身に言い聞かせるように言おうとしたその時、上空にいるスターズ・レッド・エクレクスが、人間の声帯では発音不可能なほとんど爆音のような咆哮を上げ、その場にいる栄人達四人は思わず身をすくませてしまう。
「な、何だ今のは? ……? どうしたスターズ・レッド?」
スターズ・レッド・エクレクスの咆哮に身をすくませていたヒカルは、自分が乗っているスターズ・レッドが別の方向を見ていることに気づく。そして自分もスターズ・レッドと同じ方向を見ると、北方の山々から複数の光がこちらへ向かって高速で飛んできていた。
北方の山々から飛んできた複数の光は、全て身体の一部が機械のドラゴンや恐竜のようなモンスター、それもスターズ・レッド・エクレクスの支配下にある光装竜ばかりで、光装竜達の中には先日ヒカルが栄人と戦った時にサポートモンスターとして召喚した「光装竜スターズ・ブート」の姿もあった。そしてスターズ・ブートを始めとする数体の光装竜は、スターズ・レッド・エクレクスの元に集まると一体化し、両前脚の部分にある翼だけ機械であった光装竜達の王は全身が機械の姿へと変えた。
「嘘でしょ……!? 仲間を呼んで合体した……!」
「全く……! ただでさえ強い王様が自分を更に強化とか、ちょっとズルすぎません?」
呼び出した配下の光装竜達と一体化して全身機械化したスターズ・レッド・エクレクスを見てミサキが驚きの声を上げ、タツミが引きつった笑みを浮かべて愚痴を漏らす。カードゲームの「Dragon&Dragoon」でも実際の戦いでも、呼び出したサポートモンスターの数だけリーダーモンスター、この場合はスターズ・レッド・エクレクスの攻撃力と防御力が強化されるため、タツミの言葉に栄人は全面的に同意であった。
「本当だよ。少しは手加減してくれてもいいんじゃないか……よし、来た!」
栄人がタツミの言葉に頷いた時、先程ヴォルダイブ・ジャミーの特殊能力の代償として消費した手札がデッキから補充される。
カードゲームの「Dragon&Dragoon」ではターン開始時に手札が五枚になるようにデッキからカードを引くことができ、実際の戦闘では手札が消費されて十秒か二十秒くらい経つとデッキから手札が五枚になるように自動で補充されるのだった。
デッキからカードが補充された手札は全てモンスターカードで、栄人は迷うことなく五枚のカード全てをヴォルダイブ・ザイラーに喰わせると、特殊能力を発動させる。
「ヴォルダイブ・ザイラーの特殊発動! 『ブレイジングミサイル・バーンスコール』!」
「………っ!?」
特殊能力を発動したヴォルダイブ・ザイラーの背中にある機械の筒からいくつもの熱エネルギーのミサイルが放たれ、その全てがスターズ・レッド・エクレクスに着弾すると、光装竜の王は爆発で生じた爆煙の中に飲み込まれる。そしてやがて爆煙が晴れてスターズ・レッド・エクレクスの姿が再び見えると、先程呼び出して一体化した光装竜は全て破壊されていた。
「お手柄よ、十輪寺君! これで少し……は……?」
スターズ・レッド・エクレクスの強化を解除した栄人を褒め称えようとしたタツミであったが、その途中で言葉が止まってしまう。何故ならば……。
スターズ・レッド・エクレクスの周りには先程呼び出して一体化した光装竜とは別の、新たな光装竜g達が十体以上集まっていた。




