第38話
「皆はそこで待っていてくれ」
「いや、ちょっと待て!」
スターズ・レッドを飛ばして一人でスターズ・レッド・エクレクスに挑もうとしたヒカルを栄人が慌てて止める。
「っ? どうした?」
「どうした、じゃないだろ? 何、一人で戦おうとしているんだ?」
「だけど俺が手に入れるんだったら、俺一人で戦って認めさせないといけないだろ?」
(やっぱりコイツはこうなったか……)
栄人は自分の言葉にさも当然のように答えるヒカルを見て内心で頭を抱える。
前世でゲームのドラグーン・アカデミーを遊んでいた時は、主人公の虹城ヒカルはプレイヤーの分身ということから外見やセリフが一切分からない状態で、こうして異世界に転生することで栄人は初めて虹城ヒカルという人間を知ることができた。
口数と表情の変化が少ないせいで何を考えているのか分かりにくいが、正義感が強くて仲間思い。基本的に周りに合わせてくれるが、変なところでプライドが高くて頑固な昔からあるアニメの主人公のような性格。
そして今回はそのプライドが高くて頑固な面が出てしまったらしく、ヒカルは自分が使う光装竜の王であるスターズ・レッド・エクレクスに一人で挑もうとしてしまったようだ。だが栄人にはそれが全く勝ち目がない自殺行為にしか見えなかった。
「……気持ちは分からなくもないけど、今回は相手が悪すぎるんだよ! 見てろ! ヴォルダイブ・ザイラー! ブレイジングミサイル!」
「お、おい!? 十輪寺!」
「……!」
栄人がヴォルダイブ・ザイラーに指示を出すと、ヒカルが止めるより先にヴォルダイブ・ザイラーは栄人の指示に従って背中にある機械の筒から熱エネルギーのミサイルを発射する。ヴォルダイブ・ザイラーが放った熱エネルギーのミサイルは、吸い込まれるようにスターズ・レッド・エクレクスの巨体に向かっていくのだが、熱エネルギーのミサイルが命中する直前にスターズ・レッド・エクレクスの周囲に光の障壁が現れた。
スターズ・レッド・エクレクスの周囲に現れた光の障壁は、先日栄人とヒカルが戦った時にスターズ・レッドが使った特殊能力『スターライトスケイル』で作り出された光の障壁によく似ているが、その輝きはヒカルのスターズ・レッドの光の障壁よりもずっと強かった。そしてヴォルダイブ・ザイラーが放った熱エネルギーのミサイルを受け止めた瞬間、スターズ・レッド・エクレクスの光の障壁は輝きを更に強め、その輝きが限界に達しようとした時、栄人は自分のモンスターの特殊能力を発動させる。
「そうはさせるか! モンスターカードを一枚破壊してヴォルダイブ・ジャミーの特殊能力発動! 『ヒートウェイブ・スキルジャミング』!」
栄人が乗っているヴォルダイブ・ザイラーは、タツミとの戦いの時からずっと出したままであって、その時に召喚したヴォルダイブ・ジャミーの機械の頭部も装着されたままであった。そのヴォルダイブ・ジャミーの特殊能力を栄人が使い、スターズ・レッド・エクレクスの特殊能力を妨害すると、ヴォルダイブ・ザイラーが放った熱エネルギーのミサイルは周囲の地面に撒き散らされて、地面に着弾すると大爆発を起こした。
「きゃあああっ!?」
「な、何だコレは!?」
尋常ではない大爆発によって起こった衝撃波にミサキが悲鳴を上げ、ヒカルが思わず疑問を口にすると栄人がヒカルの疑問に答える。
「何だも何も、お前は知っているし、使ったこともあるだろ? 『スターライトスケイル・オールリフレクション』の効果だよ」
「あれがだと!?」
栄人の言葉にヒカルが驚きの表情となる。確かにヒカルは栄人と戦った時にスターズ・レッドの特殊能力『スターライトスケイル・オールリフレクション』を使ったが、あれは相手の攻撃を自分の防御力を上乗せした状態で跳ね返す技で、あそこまで威力となるとは考えにくかった。
「王のカードのモンスターは伊達じゃないんだよ。あのモンスター、スターズ・レッド・エクレクスはお前のスターズ・レッドの完全な上位互換で、特殊能力だって強化されているんだ。これで分かっただろ? 一人でスターズ・レッド・エクレクスに挑むのがどれだけ無謀なのか」
「あ、ああ……」
ヒカルの考えを予測した栄人が言うと、ヒカルは一人でスターズ・レッド・エクレクスに挑もうとしていた自分がどれだけ無謀だったのかを理解した。




