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機竜戦騎Dragon&Dragoon 〜序盤に倒される悪役に転生したが、主人公達が弱すぎる!?〜  作者: 兵庫人


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第34話

「さて……。それじゃあ、そろそろ戦いましょうか?」


「え? 結局戦うんですか?」


 タツミが栄人に戦いを仕掛けた理由は彼が学園から特別視されている理由を調べるためで、栄人がゲートカードの所有者であることが分かった今、もう戦う理由がないはずなのにタツミに戦いを挑まれた栄人は首を傾げた。


「もちろんよ。十輪寺君が生徒会執行部に編入される理由は分かったけど、執行部は毎日のように問題を起こした生徒と戦うことになるからね。同じ執行部部員としてどれだけ戦えるか確かめる必要があるでしょう?」


 タツミの口から出た戦う理由は確かにもっともだが、彼女の表情を見るに本音は自分が栄人との戦いを楽しみたいのが明白であった。


「……ああ、そうですか。……仕方がないか」


 結局タツミとの戦いを避けられないと悟った栄人は、彼女と戦う覚悟を決めると自分の手札から一枚のカードを使用した。


(タツミがこの異世界で勝負を挑んできたのは、ここなら観客もまず現れなくて好都合だと判断したからだろう。……でも、好都合なのはこっちも同じなんだよ)


「俺はアイテムカード『泳炎竜の故郷』を発動させる。このカードは破壊されない限り、フィールドの残り続けて自分のターンに一回だけ効果を発動できる」


 栄人が使用したのは自分が特別扱いされている理由である、いつでも異世界へ転移することを可能とするゲートカード「泳炎竜の故郷」であった。栄人が「泳炎竜の故郷」を使用した瞬間、彼とヴォルダイブ・ザイラーの周囲に、泳炎竜が生息している島の幻影が現れてすぐに消えていった。


 元々「泳炎竜の故郷」は栄人が使っている泳炎竜デッキの中核となるカードであったが、この世界でゲートカードの効果が加えられたため、今まで使うことができずにいた。しかし今ここにいるのは栄人とタツミの二人だけで、その上ゲートカードの効果もタツミに知られているため、思う存分「泳炎竜の故郷」を使うことができたのである。


「『泳炎竜の故郷』の効果発動! 『手札かフィールドにあるリーダーモンスター以外の泳炎竜の名前がつくモンスターカードを一枚破壊することで、デッキか墓場から泳炎竜の名前がつくモンスターカードを一枚手札に加える』! 俺は手札にある『泳炎竜ヴォルダイブ・ビグマス』のカードを破壊してデッキから『泳炎竜ヴォルダイブ・ジャミー』のカードを手札に加える。……そして!」


「っ! これってもしかして……!?」


 栄人が「泳炎竜の故郷」の効果によってデッキからモンスターカードを一枚手に入れるのと同時に、タツミと彼女が乗るレイ・ラスターの周囲に熱を帯びた風が集まる。


「特殊効果の代償として破壊されたヴォルダイブ・ビグマスの特殊能力発動! 『ヴォルダイブ(泳炎竜よ)エクスプロージョン(爆炎で死を飾れ)』!」


「きゃあっ!?」


 熱を帯びた風は爆炎と爆風へと変わり、タツミのライフポイントにダメージを与える。当然これだけではまだタツミのライフポイントは残っているのだが、栄人はすでに自分の勝利を確信していた。


「……紫宝院先輩。悪いですけど、この戦いはもうほとんど俺の勝ちです。降参しませんか?」


「どういうこと? 確かに先制点は取られちゃったけど私はまだ……あ、あれ?」


 栄人の言葉に反論しようとしたタツミであったが、彼女はヴォルダイブ・ザイラーの頭部がいつの間にか機械に、ヴォルダイブ・ジャミーのものへと変わっていることに気づく。


「も、もしかして、さっきの爆発の時に……?」


「そうですよ。俺とヒカルの戦いを見ていたのでしたら、これの能力も知っていますよね?」


「……?」


 栄人の言葉にタツミは額に冷や汗を流して引きつった笑みを浮かべた。


 確かにタツミが使う紫電竜シリーズのモンスター達は、相手の手札を見ることができる上に、条件が揃えば代償なしで相手の手札を捨てさせることができる便利な特殊能力を持っている。


 ……しかし、そんな便利な特殊能力を持つ紫電竜も、能力の発動を封じられたら戦闘力の大幅な低下は避けられないだろう。


 そこからは栄人の思った通りの一方的な展開であった。


 タツミはレイ・ラスターの特殊能力を使うことで何とか栄人の手札を減らして自分に有利な状況を作ろうとするが、その度にヴォルダイブ・ジャミーの「ヒートウェイブ(炎波よ)スキルジャミング(敵の企みを妨害せよ)」に妨害されるだけではなくライフポイントを削られてしまう。そして栄人は他の泳炎竜の特殊能力も使うことで、タツミの行動を封じながらライフを削っていき……。


「ふ、ふふ……。と、十輪寺君……貴方、中々やるじゃない……?」


「はぁ……。それはどうも……」


 ライフポイントがゼロになり、モンスターもパワードスーツも消えて地面に倒れているタツミの言葉に栄人は力なく返事をする。


 ゲームのヒロインの一人に勝ったのだが、その戦いは特に苦戦もない完全な流れ作業であったため、感動も何もなかった。むしろ、こんな簡単に倒せてしまってことに栄人は逆に焦りすら感じていた。


 ヒカルとミサキの方を見てみると二人はまだストロッグと戦っている……どころか苦戦しているように見えて、ヒカルとミサキ……そしてタツミのレベルの低さに栄人は気づかないうちに顔を青くして大量の冷や汗を流しながら呟く。


「……あ、アレ? 主人公……いや、主人公だけでなくメインキャラ全員弱すぎない? これから学園で大きな事件が起きるのに、こんなんでどうするんだよ……?」

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