第25話
「『Dragon&Dragoon』は基本的にモンスターカードとアイテムカードの二種類に分別されます。アイテムカードは基本的に一回限りの使い捨てのカードですが、モンスターカードの特殊能力が一ターンに同じ効果のものを一回しか使えないのに対し、アイテムカードの特殊能力は一ターンに同じ効果のものを何回も使うことができます。更にはアイテムカードの中にはフィールドに残り続けるタイプもあり……」
『『……………!』』
その日は召龍学園に入学した新入生達が何よりも待ち望んでいた日であった。
栄人のクラスにいる生徒達はこれから起こることがよほど楽しみなのか、カード使いにとって重要であるカードゲームの「Dragon&Dragoon」の授業もろくに耳に入っていないようで、いつも冷静で真面目なヒカルですらどこか落ち着かない様子だった。クラスで落ち着いているのは栄人だけで、栄人は早く時間が経つことを願っているであろうクラスメイト達を見て心の中で苦笑する。
(皆、嬉しそう……というか興奮しているな。でも無理もないか。何しろ次の授業では『自分のカードが増える』かもしれないんだから)
栄人が心の中で呟いた時に授業終了のチャイムが流れ、チャイムを聞いた教室のクラスメイト達は我先にと教室を飛び出し、次の授業が行われる場所へと走り出していった。
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この世界でカードを手に入れるには、ゲートと呼ばれる異世界への扉を使ってモンスターが住む異世界へと行き、そこでモンスターを倒したりアイテムを手に入れるしかない。
そして異世界へと転移するためのゲートは現れても時間が経てば消えてしまい、次にゲートが現れる時期と場所は完全に異なっている上に特定する方法がないため、必然的にカードの価値は上がり続け、それが理由でどれだけ弱いカードでも十万円以上の値がついてしまうようになったのである。
しかし何事にも例外というものはあり、この世界には十ヶ所だけ決まった期間でゲートが現れる場所が存在する。
その一つがこの召龍学園なのである。
召龍学園がある島の丁度中央となる場所。そこでは七日に一度、数時間だけ大規模なゲートが現れ、召龍学園の生徒達はこの大規模なゲートからモンスターが住む異世界へと行き、自分の新たなカードを手に入れることができた。
これこそが今回、栄人のクラスメイト達を初めとする召龍学園に入学した新入生達が何よりも待ち望んでいた週に一度の授業「異世界実習」であった。
異世界実習という授業は、モンスターが住む異世界に転移した時どの様に行動するべきなのか実践形式で学ぶと同時に、新しいカードを手に入れて自分のデッキを強化する絶好の機会だった。この異世界実習を受けたいがために召龍学園に入学した生徒は多く、それどころか教師の中にも引率という形で異世界実習に参加するために召龍学園の教師となった者がいたりする。
しかしそれも仕方がないだろう。
召龍学園に集まる者達は大なり小なりカード使いとしての高みを目指す者達ばかりであり、そんな者達にとって定期的に新たなカードを手に入れてデッキを強化できるチャンスがある召龍学園はまさに理想的な場所であった。
ちなみにだが通常の生徒は異世界実習で異世界に滞在できる時間に制限がつけられているが、カード使いの成績が優秀な生徒はゲートが閉じる直前まで異世界の滞在が許可されており、生徒達の多くは異世界実習で少しでも長く異世界に滞在してカードを探すために成績優秀者になろうとしている。
召龍学園が極東国で最高峰のカード使いの学園とされている最大の理由は、異世界実習の授業のお陰と言っても過言ではなかった。




