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91話

 場所はエルフの町の蒸留器を造って貰った工房。そこで必要な材料や他の道具もミトソの指示で持ち運ばれアマラ王女、オリザと他の夫たち、屋敷の使用人、王女お抱えの醸造家、見学する町のエルフ達。沢山のエルフに囲まれて蒸留酒を造る事になった。

「えー本日ここに王女様を迎えたのは、来賓方の王女に対する感謝と敬意を現わして自ら特別なお酒を献上したいと……」

 町の代表、町長であるエルフが形式ばった挨拶を始める。アマラ王女を讃える文句がしばらく続く中、ミトソはちらりとアルマを見る。もう答えは決まっているのだろうか、彼女の表情に迷いは見られなかった。この期に及んでまだ答えが出ていなかったらアルマニャックの蒸留にも支障が出るのではと思ったが、心配する必要はなさそうだった。

「……それでは、来賓の方々。この場で王女へ献上するお酒の醸造をお願いします」

 ようやく挨拶が終わると、二人はてきぱきとアルマニャックの醸造に取り掛かる。ミトソが用意を頼んでいた材料はエルフの醸造家たちが造った高級な葡萄酒。それを樽で数個用意してもらった。

 アルマニャックは様々な種類のあるブランデーの中の一つ。ごく一部の地域で醸造されたワインを蒸留して造られる。エルフたちの造った大きくて丈夫な蒸留器のタンクの中に注ぎ、火を付けて温める。

地味な作業だが、やがて温められて気化した葡萄酒の香りが工房中に漂う。流石エルフたちの職人が醸造した葡萄酒だ。帝国の物とは違いその香りも上品で華やかだ。周りのエルフたちもその香しい葡萄酒の香りに歓声が上がる。

 やがて、水蒸気となった葡萄酒が蒸留器の管を通って冷却器の中に向かってゆく。冷たい水で冷やされた管を通って再び気体から液体へと戻る。この液体は葡萄酒から濃縮された成分が含まれている。その雫が冷却器から垂れて、空の樽へと流れていく。こうして葡萄酒から成分を精留して集めた物が蒸留酒となる。

 樽に蒸留酒が溜まるまで、葡萄酒を沸騰させその精留した液体を集める根気のいる作業だ。冷却水の温度も確認しなければならない。火と水の状態を交互に見ながら少しずつ蒸留酒を溜めていく。

多くのエルフが見守る中、ついに樽が蒸留酒で満たされた。僅かに葡萄酒の色を残してきれいな赤色をしている。それを王女の使う杯に注ぐ。

「ご賞味あれ王女様」

 アルマがアルマニャックの入った杯を差し出すと、彼女はそれを受け取った。出来たばかりのアルマニャックを物珍し気に見つめ、最初の一口を付けた。

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