80話
アモラ王女が自分の城に帰るのに続いて、二人もそれに続く。彼女は専用の個人用馬車に乗って向かい、アルマたちは返してもらった荷馬車で向かう事になった。
「エルフの城と城下町。ちょっと楽しみだわ」
森の中にあるエルフたちの国。ファンタジーの世界で聞いたものを実際にこの目で見れる事に。アルマは少しわくわくしていた。
「昔いた事があるけど、そんな期待するものじゃないよ。帝国の町と違って森の中にあるから薄暗いし、何より足場が悪くてすぐ転びそうになる」
馬車が道に生えていた木の根を踏み越えて大きく揺れた。エルフの森は馬車で進むにはあまり適していないようだ。それでも王女の馬車は平気で進んで行く。特別な技術が使われてるのだろうか。
「そんなの聞いたらがっかりするじゃない。せっかく楽しみにしていたのに」
しかし、戦争から離れた事でアルマは少し気が楽になった。これから向かうエルフの町はどんな物なのだろう。ミトソが余計な事を言ったせいで少々不安になる。
「どうやら着いたみたい、先に王女たちが入るから僕たちは後回しみたいだ」
エルフの町の城門は木でできた物だった。高さはそれなりにあるが、帝国の石造りの門に比べると少し頼りなくも感じる。門の向こうから王女を讃える喝采の声が聞こえる。既に町のエルフの人たちにも帝国を追い払った事が伝わっているようだ。
「よし、許しが出たから僕たちも入るよ」
暫くして、静かになった後で二人も門をくぐってエルフの町へと入った。
「うわぁ」
エルフの町は壁に木材を、基礎に石材を使っており見た目ほど弱くなさそうだった。なにより家々の窓には様々な色のガラスが使われており、木漏れ日を反射させてきれいに輝く。一見素朴だが、建築物に妥協をしてない事が伺える。
「ミトソの嘘つき、エルフの町って凄いいいじゃない!」
「そう? 僕みたいな神からしたら質素すぎると思うけど、君が気に入ったなら何よりだよ」
そんな事を言いながら町中を進み、王女の住居へ向かった。エルフの王族は城というよりも屋敷を住居にしているらしく、町の半分は使ってるんじゃないかというほどの広大な庭と屋敷の大きさに、アルマは驚いた。
庭も綺麗に生け垣が剪定され、花壇や木々のつける様々な花で彩られていた。もし帝国が火を放っていたらこれらの美しい花々も燃やされていたのだろうか。だとしたら、自分がやったことに少しの意味があったとアルマは思う事が出来た。
「馬車を預けたら王女の屋敷に行こう。客として扱ってくれるみたいだよ」
馬屋で待っていたエルフ達に荷馬車を預けると、屋敷の使用人らしきエルフがやって来て二人を案内する。




