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67話 商人ギルドの思惑2

 ドワーフの国での件があって以降、ロンは商人ギルドから直接商品の扱いを許される地位を得た。末端の行商人とは違い何かあった場合、ギルドの力を借りる事が出来る。仕事の際には帝国の護衛も付くので、命の危険に陥る可能性がぐっと減った。これも偏に酒の魔女のお陰である。

商人ギルドの中ではアルマは酒の魔女と呼ばれ、その行方を追われていた。酒は帝国では貴族階級にしか許されない言わば禁制品だが、それゆえに密造酒には需要と価値があった。ギルド長のガーメット・オゼーゼは酒の魔女を利用して新たな商売を考えていた。本来は違法である密造酒の販売とその販売路の開拓だ。その為に酒の魔女であるアルマの存在が必要不可欠だった。

 もっとも、ロンは恐らくアルマは魔女と呼ばれるような特別な力はないものと考えていたが、それは商人ギルドには秘密だった。秘密の情報はそれだけで価値がある。おいそれと渡すわけにはいかない。それがギルド長であろうと。

「魔女の行方が分かった」

 再びオゼーゼに呼ばれた時、そう言われた。彼女たちの行方を掴んだという。

「帝国の、西方のエルフの国に一番近い街で、ギルドの関係者にこいつを渡し賃代わりにエルフの国へ向かったという」

 そう言って、執政机の上に置かれた小さな樽を見せる。

「中はかなり強い酒が入っている。今まで帝国にはなかった強い酒だ」

 オゼーゼはにやつきながらロンに説明する。どうやって醸造したのか不明だが、帝国には殆ど存在しない強い酒の造り方を知っている。ロンには彼が何を言いたいか分かっていた。

「ちょっとの量で簡単に酔いつぶれる! 沢山造れば大儲けできるぞ! コップ一杯でいくらになる事か……!」

 既にオゼーゼはこの酒で得られる金の勘定を頭の中で始めている。

「お前も西方に向かえ! 魔女とは顔見知りだ。それで魔女から酒の醸造法を聞き出すんだ!」

 すっかりオゼーゼは魔女の持ってきた酒に可能性を見出している。反対意見は無意味だろう。

「分かりました」

 自分が拒否した所で、オゼーゼは別の人間を差し向けるだろう。何が何でも、力づくでも魔女をこの手に入れるつもりだ。彼女に会えることは嬉しいが、もっとマシな状況で会いたかった。もし、彼女を商人ギルドに連れて行けば、あの少年も間違いなくついてくるはずだ。そうなればきっと一悶着起きるとロンは思った。

 その時、自分はどちらに付くべきか。その後の身の振り方を決めておかなければ、きっと身の破滅に繋がると彼の直感が訴えていた。

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