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5話

「それもそうですね……」

「そういうのは村長にでも聞いたらいいさ。とにかく客じゃないならとっとと出ていきな!」

 追い払うように手を振られてしまったので、肩身の狭い思いをしながらアルマは宿場を出た。とりあえず村長にこの村で働かせてもらおうと探してみる事にした。

そんな大きな村ではなかったので村長はすぐに見つかった。しかし既に何人かの村人に見られて村中にアルマの存在は知れ渡っていた。こういう共同体は情報が回るのが早い。突如村にやってきた怪しい女性だと認識されていた。

「それで、どうしてこの村に?」

「お金もなく路頭に迷ってしまって……それでなんとかこの村までたどり着いたんです」

「もう少し行くと修道院がある。女の人ならそこに行ってはどうかね?」

「それが色々事情がありまして修道院には入れなくて……」

 そう聞いて村長は不審そうに顔をしかめた。まさかその修道院から追い出されてきたとも言えず言葉を濁すしかできなかったが、却って怪しい人物だと思われてしまった。村長は自分の妻と少し相談するとアルマに言った。

「村のすぐそこに森があるじゃろ。その中を少し行くとわしが子供の頃から残っている廃屋がある。そこでなら雨風だけでもしのげるから、そこで良ければ使いなされ」

「ありがとうございます!」

 アルマにとっては寝泊りできる場所が見つかっただけでも行幸だった。村長たちは見るからに怪しいアルマを村に入れる気はないが、流石に良心が咎めたのか村から離れた場所を妥協案として提案してくれた。

説明された通り、村の裏手にある森を少し進むと、かろうじて形を保った廃墟があった。形を見るに古い教会か何かだったであろうが今は見る影もない。

「村長は言ってなかったけど、幽霊なんかいないわよね……?」

 扉に手をかけると今にも崩れそうな大きく軋んだ音を立てて開く。もう何年何十年誰も手入れしていないような埃とカビの臭いが漂ってくる。どうして崩れずに今まで残っているのか不思議なほどのボロ屋だ。

「ううう……崩れたりしないわよね?」

 一歩中へ入ると今にも床板を踏み抜きそうだった。屋根はあるが穴が開いていて陽の光がそこら中から差し込んでいる。

「これからどうしましょう……村の人たちはみんなわたしの事怪しんでいるし、仕事なんて見つかるかしら?」

 何か作ろうにも道具すら持っていない。食料のパン一個だけだ。これではもって数日、それまでに食料を買えるだけのお金がなければ、この廃墟で野垂れ死ぬだけだ。

どんな世界でもやはり金は必要なんだと、アルマは改めて痛感した。

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