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47話

「この世の事象は全て時間の流れと共にある。つまり時間はあらゆる物を支配している万物の根源なのだ」

 アルマとミトソは薬草医アブールの講釈を聞いていた。と言っても、殆ど聞き流してハーブティーを味わっている。

「人間を含めたほとんどの生き物は一日の時間の流れと変化の中で行動をし、植物は季節の時間の流れの中で決まった変化をし続ける。このサイクルこそが我等を支配する絶対的な法則!」

「すごいですねーあ、ハーブティーのお代わりを下さい」

「それなのに帝都の貴族たちは君たちのように理解を示さなかった。何たる無理解で悲しい事よ……」

 話を続けながらもアブールはハーブティーを注いでくれた。彼の口から帝都という言葉が出てきた事に驚いた。

「帝都にいた事があるんですか?」

「無論今から30……6年前。私は帝都で学問を習っていた。そこでこの法則に気が付いた私はたった10日で論文を書き上げ、帝国法にもこの法則を適用させるべきだと学会で提唱したのだ」

 アブールは帝国の学者だったようだ。しかし、その結果は今の状況を見れば分かるだろう。

「私は異端のレッテルを貼られ、帝都を追放された。そして今では、自然のサイクルに則って植物たちと共に生活しているという訳だ。植物は素直だ。時間に忠実で法則通りに行動をし続ける」

「あんたの考えはよく分かった。それよりも僕は聞きたいことがあるんだけど」

 ミトソがつまらなそうに彼の話を切り上げる。神は時間に無頓着だ。少なくともこの元神は彼の理論には最初から興味がなさそうだった。

「帝国法にあんたの理論を適用するなら、当然禁制品も変えるべきだと思ってるんじゃない?」

「当然だ。帝国法は無駄に人々へのサイクルに干渉し過ぎなのだ。食事から薬の利用、一日の過ごし方。どれをとってもサイクルにとって無駄な時間の消費となる項目が存在する!」

「お酒も禁止にされてるけど、それはあんたのサイクルとやらには関係してるのか?」

 アブールはミトソが自分の理論に興味を持ったと勘違いしている。この元神は初めっから酒という絶対的な存在にしか興味がない。

「酒! あれも私の法則を証明してくれている。特殊な状況下における物体の時間の流れによる変化は……」

「お話は後々聞かせてもらうから、まずはその物体の存在を確定させて欲しいな」

「分かった。君は賢い。存在を見せる事こそ法則を証明する一番手っ取り早い方法だ」

 彼は急いで地下に作られた保管庫らしき場所から、一つの陶器を持ってきた。

「3種類の木の実、12種類の薬草を浸けた私の特製薬草酒だ!」

 帝国法では禁制品である酒をアブールは隠そうともせず持ってきた。

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