37話
ガブが戻ってきて、アルマたちの動向許可を取り付けてきてくれた。後は商隊の元へ行けば、いつでも出発できるという。
「帝国の騎士たちが町をうろついている。顔を隠して行くよ」
フードを目深に被り、なるべく人通りの少ない路地を通って商隊の待っている場所へ向かう。どうか騎士団に出会わないようにとアルマは祈った。
「顔を隠していた所で、こんな怪しい二人組がいたらすぐバレちゃうね」
「バレたら一巻の終わりなのよ。特に私は処刑される身なんだから、慎重にね」
着いた場所は大きな厩舎だった。馬車隊にそのまま鉱石や資材を乗せられるようにできている。既に馬車隊が整列させられ出発を待っていた。
「あんたらがガブの言っていた友人か。早く乗りな、もういつでも出発できる」
はんば押し込められる形で荷台に乗せられると、馬が歩き始めた。幌に中いれば、外から二人の姿は見えない。これで安心して町から出れるとアルマは安堵した。
少し経つと外が騒がしい事に気づき、幌をめくり外の様子をうかがう。
そこには騎士を連れたデュオンと、行商人のロンが言い争っていた。
「大変! 騎士たちに見つかってるわ!」
「落ち着きなよ。きっと僕らの事を尋問して聞き出そうとしてるんだ。出発できてよかった」
ミトソとしては、ロンの帝国の武具の密売がバレて捕まってくれた方がありがたいと思った。そうすれば、デュオンたちもロンをすぐ帝国へ連れ帰らなければならないからだ。
「だから、あの二人とは別れて僕は無関係なんだって……」
「検問では身内と言っていたらしいな。奴らの住んでる場所も知っているはずだ」
「それは遠い親戚というだけで、そこまでは……」
尋問されている横を二人を乗せた馬車隊が横切ろうとしたとき、デュオンが何かに気が付いた。
「そこの馬車隊、何を積んでいる?」
そういえばこのデュオンという男は鼻が利くんだった。二人から出てる僅かな酒の匂いに気が付いたのかもしれない。
「帝国へ渡す鉄を運んでいるんでさぁ」
馬車隊の頭が答えた。
「少し中を見させて貰っていいか?」
デュオンが二人のいる荷台の幌に手をかけた。幌の布一枚隔ててアルマたちは向かい合っていた。慌ててアルマが隠れようとするが、その動きをミトソが制す。物音を出したらかえって怪しまれるからだ。
「何であんたらに大切な商品をみせなきゃならねえんだ? これは帝国へ送る大切な荷物だ。手を離せ!」
「このドワーフめ、俺たちは……!」
騎士の一人が言いかけたところでデュオンが制した。今の彼らは身分を隠している。帝国騎士団が何故許可もなく同盟国のドワーフの国にいるのか、今度は自分たちがその理由を問われる事になる。これ以上問題事を増やしたくなかった。
「無礼を働いて申し訳ない。行ってもらって結構だ」
デュオンは非礼を詫びて幌から手を離した。間一髪の出来事にアルマはほっとした。




