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27話

「それならドワーフの国に残っていればよかったのに、何で帝国にいたの?」

「ドワーフたちは鍛冶技術は優れていたけど、酒造りに興味を持ってくれる人はいなかった。帝国法もあったからね。だから、より良い酒を求めて、僕は各地を転々としていたってわけ」

 転々としながら酒の密造手段を教えていたのだろうか。そうだとすれば、ミトソは帝国からしたらかなり憎い存在だろう。

「美味しい酒の元になるいい材料、ゆっくり安全に醸造できる保管場所……そういうのがある場所はなかなか見つからなかったけどね。怪しいと感じれば帝国の騎士団がすぐ飛んでくる。その度にまた一からやり直しの繰り返しさ」

 一応本人なりに苦労してきたらしい。止めればいいのにとは言えなかった。彼女も同じ無類の酒好きだったからだ。おそらくきっと、今回みたいなことがなくても帝国の厳しい禁酒令の中では、遅かれ早かれ酒で問題を起こしていたかもしれない。

「さ、明日には最寄りの町に着くはずだよ。そこに知り合いがいるから彼に話をすればちょっとは手を貸してくれると思う」

 そう言って荷馬車の方へ向かっていく。アルマもロンから毛布を借りて、馬車の中で夜を過ごした。

 日が昇り、目が覚めると既にミトソもロンも出発する準備を始めていた。やはりこういう各地を回るのに慣れている人は朝からテキパキと行動が早い。

「それじゃあ、行こうか。僕らはここの最寄りの町に行くんだけど、おじさんも向かう場所は同じ?」

「そうだね、お兄さんもそこで仕事があるから、目的地は同じだね」

 門番に賄賂を贈ってまでどんな仕事をしているのか。それも気になっているが直接本人に聞くようなものではないだろう。何よりこれ以上問題を増やしたくないこともある。

やがて、アルマたちはブルホーディという名のドワーフの町へ着いた。ここがミトソとロンの目的地だ。町の人はみんなドワーフだ。想像していた通り、子供のミトソくらいの小柄な身長だけども、がっしりとした体型にみんな立派な髭を蓄えている。

一番奥には大きな採掘穴が出来ていて、町の中に採掘場があるというより、採掘場所に集落を作っているという方が正しいような町並みになっている。

「それじゃあ、僕はここの鍛冶場に用事があるからお別れだ。また縁があったら会おう」

「ありがとうございました! それで私たちは何処にいくのかしらミトソ君」

「僕らは宿場へ。この町にはいくつか宿屋があるけど、カナリアの看板のノックノックという名前の店に行くよ」

 商人ロンと分かれ、アルマたちはミトソの記憶を頼りにノックノックという宿屋を探した。

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