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20話

「あれだけの量を本当に飲むとは……おい、この魔女を帝都に連行する。連れていけ!」

 団長のデュオンが指示を出す。騎士数人がかりで抱えられ、アルマは連行されてしまった。

「騎士団長殿、村の者たちは……」

「あの魔女が言っていた通り、村の人間はこの場にいただけだ。すぐに解散させろ」

 村長も、宿屋の亭主も帝国騎士団には逆らう事は出来ず、村へと返された。その間に廃墟の中も調べられ、地下に蓄えられていた酒樽もすべて見つかった。

「普通の教会と様式が違うな。もしかしたら異教の神を奉ってたのかもしれん」

 デュオンは騎士を数人連れて廃墟の中を調べていると、わずかに残っていた紋章や、祭壇の形が帝国の教会の物とは違う事に気が付いた。帝国の法律で異教信仰は禁止されている。その時に放棄された物だろうと推測した。

「地下であの女は酒を密造していたようです。如何しますか?」

「すべて叩き割れ。そしてこの廃墟に火を付けろ。二度と使えんようにな」

 デュオンは少し不思議に思った。これだけの量の酒を造るには道具だけじゃなく材料もたくさん用意しなければいけない。それをあの魔女は一人で行っていたのか?

「ところで地下には誰もいなかったか? あの魔女の仲間が隠れていてもおかしくないが……」

「いえ、地下には誰もいませんでした」

「ふむ……後で村の人間たちに尋問しておけ。あの魔女は何処から材料を持ってきていたのか。もしかしたら組織的な密造業者の一味かもしれん」

 しばらくして、廃墟の地下にあった麦酒も全て放棄され、最後に火を付けられた。瞬く間に炎が廃墟を包み、黒い煙を上げながら崩壊していく。アルマはまだ気を失っていたが、手錠をされた上で騎士団の牢馬車に乗せられ、帝都へと連れていかれた。

アルマに酒を密造させていたあの少年の存在は、騎士団も村の人も誰も知らないまま行方も知れず消えていた。

 やがて帝国騎士団は次の日の朝方には帝都へ着き、アルマを地下牢へと移した。同時にその日の昼には処刑を行うようデュオンは手配し、彼女が酔いつぶれている間に準備が次々と調えられていた。そして、処刑が行われる直前に彼女はようやく目を覚ました。

 アルマはようやくこれまでの記憶を思い出したが、既に処刑は目前で自分の犯した過ちを後悔した。

「せっかく転生したのにまた私、お酒のせいで死んじゃうのね……」

 まさか転生先が禁酒令の布かれた世界だとは神様も酷い……もしかして罰としてこんな世界に転生させられたのかもしれない。

「では処刑を執り行う。魔女を吊るしあげ、火あぶりの刑に処す!」

 手錠をさせられたまま処刑台に上げられ、粛々と柱に括り付けられる。まだ酒が残っていて頭が回ってないのか、まるで他人事の様にアルマには恐怖がなかった。

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