19話
酒宴の場は一転して戸惑いと恐怖の声が上がった。次々に騎士たちが村人たちを捕縛していく。周囲には弓を構えた騎士が取り囲んでいる。逃げようとすれば、その場で矢を射られる。
「やめて……止めなさい!」
アルマは大声で叫んだ。村人たちには罪はない。全部自分の責任だ。
「村人たちは、何も悪くないわ! 悪いのはこの私だけ!」
「黙れ魔女。この場にいて酒を飲もうとした。それだけでこいつらも同罪だ」
デュオンがそう答える。だが、アルマは言った。
「違うわ! 村の人は酒を飲むつもりなんてなかった。だって……彼らの持っていたのは全部私が飲む物だから!」
苦し紛れにアルマはそう答えた。村人に注いだ酒は全部自分が飲む物だと。殆ど無理がある言い訳だったが、デュオンが冷酷に笑った。
「ははは、村人の酒は全部自分が飲むだって? これだけの人数の分を一人でか?」
「そうよ! だから村人は悪くないわ。その証拠を見せてあげる!」
アルマはそう言うと、一人の村人の持っていた容器を奪い、一気に飲み干した。その様子を見て村人だけじゃなく騎士たちも騒然とする。
「さあ、私に全て渡して! これは私が飲むためのお酒。村人たちは誰も、一口も飲んでない!」
アルマは次々に村人の持っていた麦酒を手にしては飲んでいく。自分は既に酒を密造した罪がある。だが、まだ村人たちは酒を飲んでない。それならば、酒を飲んだ罪は自分が引き受ければ彼らに罪はないはずだ。
「ぷはっ……次!」
最初は笑っていた団長のデュオンも、アルマが本当に全員分飲み干そうとしているのを見ている内に真顔になっていく。
「うぷ……これも、私のお酒。これも、これも、これも……!」
村人たちの持っていた酒だけじゃなく、余った分の麦酒が残っている樽を掴み、豪快に飲み始めた。
「ぐっぐっぐ……ぶはー!」
信じられないことにアルマは酒宴の場にあった麦酒をすべて飲み干してしまった。
「信じられん……」
「嬢ちゃん……」
「言ったとおりでしょ。ここのお酒は全部私のだって……だから村の人たちは……」
アルマはその場に昏倒した。ほんの短時間で大量の酒を飲んだのだ。かなりの量のアルコールを摂取したことになる。そのせいで意識を失ってしまったのだ。絶対にマネしてはいけない。




