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18話

 時が経って陽が沈み、月が闇夜を照らしている。既に真夜中だが、アルマが生活をしている廃墟の前には簡易なテーブルが並んでいる。そして、自分の隣には麦酒の入った樽が数個。待ちに待った酒宴の時が来た。少年は一人で飲むと地下から出てこなかった。

「僕は地下で飲むよ。お姉さんたちの楽しむ声をツマミにしてね」

 せっかく大勢の人が来るのに残念だ。アルマは一人で飲む酒も好きだが、みんなで楽しく飲む酒も好きだ。酔って気分がおおらかになって、普段は話したことがない人とも仲良く話せるようになって、友人になれる。それもお酒の醍醐味だ。

 そして、約束通り村長や宿屋のおじさん、ぞろぞろと村の大人たちが総出でやってきた。

「こんばんは嬢ちゃん! 粋なことしてくれるじゃないか!」

「お酒が飲めるなんていつぶりじゃろうか。中には見た事すらない者もおるくらいじゃよ」

 期待と好奇心で村の人たちは心躍っている。そうだ、中にはお酒を飲んだことすらない人もいるのだ。自分たちの造った酒を気にいってくれたら嬉しい。

「皆さん持ちよった容器を持って並んで下さい。全員に麦酒を注いだら、乾杯の音頭を取ります」

 木のボウル、陶器の壺、革袋……村の人々は思い思いの容器を持ってきた。それに樽からなみなみと麦酒を注いでいく。村のひと全員に行き渡る量は十分あった。

「それでは、皆に酒が行き渡った所で乾杯の音頭を取ります」

 今か今かと村の人々は待ち望んでいる。挨拶も早々に早く酒宴を始めるつもりだ。

「では、私を受け入れてくれた村の皆様に感謝を込めて、乾杯!」

 乾杯! と、酒の入った容器をみんなが掲げた瞬間だった。どこからともなく一本の矢がアルマの前に突き立った。それを合図に、がしゃがしゃと周囲を取り囲むように人影が木々の間から飛び出してくる。明かりに照らされたその恰好を見て気が付いた。昼間に見た帝国騎士団たちだった。

「やはり監視を潜ませて正解だった。まさかこんな堂々と帝国の法を汚すとはな……」

 団長のデュオンが前に出て来た。まさか酒宴をすることがバレていたとは、アルマは気づきもしなかった。

「発案者はお前だな魔女め」

 デュオンは斧槍を取り出すとその切っ先をアルマに向ける。

「そんなどうして……?」

「密造酒の取り締まりなんかもしていると、文字通り鼻が利くようになるんだ。初めて会った時から僅かだが酒の匂いがしたのでな」

 デュオンが空いた手を上げて団員たちに合図を送る。数人の騎士たちが、近くにいた村人を無理やり締め上げる。

「貴様らは帝国の法を犯した! ここにいる全員をひっ捕らえろ!」

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