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110話

 商人ギルドの本部は帝都の中でもかなり大きな建物だ。そして、昼夜を問わず商人が各地から徴収した物資の搬入を行っている。場所を見つけるのはそう難しい事ではなかった。問題は、どうやって内部に侵入するかだ。ミトソは丁度やってきた運び屋の荷物の中に紛れて商人ギルドの内部へ潜入した。

 身体の小さなミトソなら、身を隠す場所には困らなかった。問題は、どこにアルマが幽閉されてるかだ。恐らくそう簡単には脱出できないような場所、上か下か、商人ギルドの建物自体はそれほど高くない。それなら地下だとミトソは判断した。

 本部の中は、商人以外に荒事のためにいる様なごろつき染みた連中が多くいた。帝国の衛兵と違い粗野で犯罪でも金のためなら惜しみなく働く連中だ。そう言う人間を集めて見張りをやらせているのだろう。無理に外に出ようとすれば、アルマの様な女性でも容赦しないはずだ。

「無事でいてくれよ」

 独り呟きながら地下に通じる場所を探す。地下に繋がる階段を見つけたが、覗き込むとある部屋の前で見張りをしている男が一人見つかった。

「あそこだな」

 彼女が閉じ込められている部屋に目星をつけると、ミトソは手持ちの銀貨を取り出して地下へと落とす。見張りの男は上から落ちて来た銀貨に気づくと、疑う事なく近づいてそれを拾おうとする。その頭に、ミトソは手ごろな大きさの花瓶を落としてやった。派手に割れる音が聞こえたが、覗き込むと見張りの男は気絶して倒れていた。

ミトソは階段を下りると、見張りの持っていた鍵を見つけ、そいつが見張っていた扉に使った。

 扉を開けてアルマがいるか覗き込むと、目の前に大男がたたずんでいた。

「あっ!」

 見つかったと思ったが、大男はよく見ると目の焦点が合わずふらふらと扉に近づくが、そのままばたりと倒れ込んでしまった。どうしたのか不思議に思いながら部屋の中の様子を見た。

「あ、ミトソ!」

 部屋の中にはアルマがいた。やはりここに監禁されていたようだ。だが、この大男は?

「やっと助けに来てくれたのね! 待ってたの……」

 彼女も様子がおかしい。足取りがおぼつかずこっちに向かってくる途中で足がもつれて転びそうになる。

「おっと」

 ミトソが慌てて彼女を抱きかかえる。顔が近づくと、とても酒臭い。

「遅くなったね。でも、一体このありさまはどうしたのさ?」

 部屋の中を見てみると、もう一人男が椅子に座っていたが、酔っぱらっているのか赤ら顔でぐったりしていた。こちらの様子には全く気付いてないようだ。

「ギルド長とその手下と酒の飲み比べをしてやったの。そこそこ強かったけど、私の勝ちよ」

 アルマは出来たばかりの密造酒でガーメットたちと酒の飲み比べ対決をしていた。そして、見事、ガーメットたちを飲みつぶしたようだ。

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