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109話

「ついに尻尾を出したな!」

「いつかはこの日が来るのを思っていたぞ!」

 日頃から商人ギルドが力を付けて来た事に反感を持っていたブランドハウスの貴族たちは、嬉しそうに声を荒げる。

「デュオン、この度のお前の失態は取り消してもよい。商人ギルドの介入のせいで、帝国は不必要な損害を受けた。エルフの国への侵攻は取りやめよう」

 その言葉に反応したのはデュオンよりもジャバー・シャット―の方だった。

「何を言っている。エルフの国の領土と資源は帝国存続の為に必要だ! それを今更止めることなど……」

 言葉の途中でシャット―は大きくせき込んだ。

「シャット―殿、欠席しているブランディスやグレーンは貴方と同じで侵攻に賛同していた。しかし、彼らもあなたも体調が優れない。しばらくは療養に励むべきでないか?」

「帝国の存続の為に、今は力を蓄えておくべきだと我々は薄々感じていた。商人ギルドのせいで侵攻が上手くいかなかった理由もある。冷静になられよ」

「しかし、しかし……」

 ブランドハウス内でもエルフの国への侵攻は意見が割れていた。しかし、商人ギルドの裏切りによってその情勢は大きく傾いた。

「しかし、皇帝陛下の言葉には……」

 存在していない皇帝の言葉を言う前に、シャット―はついに椅子から転げ落ちた。急いで衛兵が駆け付け、彼を会場の外へ運んでいく。

「シャット―殿はもう駄目だろうな。帝国の威信は既に陰り始めているのを気に病んでたのだろう」

「先ほど言った通りだデュオン、エルフの国への侵攻は取りやめとなる。お前の処罰も取り消しだ」

 ついに、帝国の領土拡大は失敗となった。しかし、玉座に皇帝は存在しておらず、ブランドハウスたちも帝国の弱体化は薄々気づいていたのだろう。今回の件でそれは決定的となり、帝国は新たな道を模索してゆかなければならない。

「処罰は取り消しだが、早速お前には帝都の衛兵を引き連れて商人ギルド本部へ向かって欲しい。ギルドの裏切りについて今度はガーメットを問いたださねばならんからな」

「はっ、承知しました!」

 デュオンは深く頭を下げた。それを見たロンも続いて頭を下げる。ここまでは万全に事が進んだ。後は先に商人ギルドの本部に向かったミトソと、アルマの安否が気がかりだ。ミトソは無事に彼女を助け出す事が出来たのか。デュオンとロンは議会から退場しながら、それだけが気がかりだった。

「彼らは無事だろうか。あの少年は嬢ちゃんを助け出せたか?」

「ロン、君の役目はここで終わりだ。私はこれから商人ギルドの本部へ向かう。もしまだ彼女がいたとしても、何とか最善は尽くして彼女だけは助けてやろう」

 元老院から出ると、ロンはそこでデュオンと別れた。元老院は帝都の高台にあるため、ここからは帝都中が見下ろせる。商人ギルドの本部も見える。2人はまだあそこにいるのだろうか?

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