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108/118

108話

 元老院の議会場。そこにはブランドハウスと呼ばれる最も地位の高い諸侯が、皇帝の言葉を元に帝国の行く末を決める重要な場所。そこへ再びデュオンは訪れた。だが、今回は少し様子がおかしい。基本的に全員出席するのが当然の会場に、空席があった。

「話は聞いているぞデュオン。無残にもエルフの連中にしてやられたそうだな」

 シャット―の非難する声が聞こえてきた。だが、その声は弱々しく、ぜーぜーと息を切らしている。

「シャット―殿、体調が優れないようだが?」

「グレーン殿やブランディス殿の様に、欠席しても良かったのではないか?」

 他のブランドハウスたちから声が上がる。どうやらミィジー・グレーンやボン・ブランディスは体調不良により欠席しているようだ。

「こんな大切な集会に欠席など出来るか! それで、どう責任を取るつもりだデュオン。この失態の落とし前は?」

 早くも本題を問いただされたが、それは予知していた事だ。デュオンは深々と頭を下げる。

「いかなる処遇も受ける所存です。ただ、今回の件で独自に調査をしていた所、ある事が分かりました」

「ある事?」

「ええ、エルフから奇襲を受けて敗走したのは事実です。しかし、こちらの情報を敵方であるエルフ族に流していた者がいたのです」

 デュオンの言葉にブランドハウスの貴族たちがざわつく。敵であるエルフに情報を流すのは帝国に対する完全な裏切り行為なのは、子供でも分かる事だ。

「そんな事をして何の得になる? 責任逃れのいいわけではないか?」

「いえ、商人ギルドの者たちの仕業です。物資を軍に運ぶ際に、彼らとも陰で接触していて軍の情報を教えていたのです」

「それは本当か!」

 ブランドハウスたちがどよめく。帝国内でも商人ギルドの影響力は無視できない物になっている。その目の敵が、敵対行為をしていたと分かったならば、彼らにとってその影響力を削ぐチャンスでもあるのだ。

「ここに証人がおります。彼の勇気ある告発により、その事実が明るみになりました」

 議会の場にロンが入場する。流石に厳かな雰囲気に縮み上がっているが、勇気を出して声を上げる。

「商人ギルドのロン・コーツと申します。私めの様な庶民が元老院の入場を許可された事、ブランドハウスの方々にお目にかかれた事は……」

「世辞はいい。して、商人ギルドがエルフに帝国軍の情報を流していた事は事実なのだな?」

「おっしゃる通り、事実でございます」

 なさかの内部告発にグランドハウスたちが騒然とする一方、シャット―の顔からは血の気が失せていた。

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