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100話

 連れていかれた先はギルドの地下室だ。部屋そのものはそこで生活が出来るように家具一式が揃い、エルフの屋敷ほどではないが、庶民には手が出なさそうな上流階級の使うような物ばかりだ。そして、その奥の部屋は倉庫の様にいくつもの樽と見慣れない大きな装置が一角に鎮座していた。

「酒の魔女さんにはここで生活しながら、その御力で酒を醸造して欲しい。ここには一通り揃っているが、必要な物があれば、部下に持って来させる」

 要はここで監禁されながら蒸留酒を造れという事だろう。奥の部屋の装置は、彼らが用意した蒸留器のようだ。

「どうだ? こんな生活、貴族でもなかなか出来ない。あんたは流浪の生活からお姫様になったんだ」

 囚われの、と頭に付けるべきだろう。外に出る自由もなく、言われた通りに彼らの為に密造酒を造らされる。今までで最悪の生活と言っていいかもしれない。例え流浪の身でも、自由に酒を造ったり、人々に会える生活の方がマシだと彼女には思えた。

「早速、手にかかって欲しい。という所だが、魔女もゆっくりしたいだろう。風呂もあるから、まずはそこで身を清めた方がいい……」

 この数日、ずっと馬車で見張りに睨まれながら生活していた。当然お風呂にも入らせてもらってない。身体が気になるのは自分自身でもよくわかっている。

「じゃあ、我々は失礼しよう。身を清めたらすぐに支度にかかって下さいよ」

 そう言ってオゼーゼ達はアルマを残して部屋から出ていった。案の定、すぐに鍵を閉められ幽閉状態となった。あいつらなんかの為に酒を造るなんてまっぴらごめんだったが、まずは身体をキレイにしたい。浴室を見つけて身体を洗い、用意されていた服に着替える。あくまで普通の女性の衣服だ。何がお姫様だろうか。酒造りよりもまず、部屋中を調べて出口になりそうな場所がないか探してみる。

 地下という事もあり窓の様な外の様子を見る物は一切ない。醸造部屋兼倉庫には大きな扉が奥にあり、そこから造った酒を運ぶのだろう。やはりカギがかかっており、頑丈そうな鉄の扉はそう簡単には開けられなさそうだった。

ここを出入りするにはさっき来た出入口が唯一の物らしく、少し広いだけで実際は座敷牢の様な物だとアルマは思った。

 どうやって脱出できるか考えていると、突然大男が部屋に入ってきた。手にはパンとスープ、それとわずかばかりの付け合わせという食事が用意されていた。

「食事の時間だ。食おうがどうしようか、時間になったら一日二回持ってくる」

 食事は時間が決まっているようだ。やはり囚人とほとんど変わらない。大男はテーブルの上に食事を置くと何も言わず、すぐに出ていった。

外には簡単に出しては貰えなさそうだ。悩んでいても仕方ないので、まずは腹を満たす事にした。食事をしながら、自分がいなくなってミトソは何をしているのだろうかと彼女は考えた。

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