プロローグ
目の前に自らを神様と名乗る者がいる。
服装はマンガやゲーム、おとぎ話に出てくるような女神みたいな格好だ。
そんな女神様が、俺に全力で土下座をしている。
それはそれは、きれいな土下座だ。
~数か月前~
高校生である東雲奏召は今日も退屈な日常を過ごしていた。
家では出来のいい兄である東雲煌と比べられ、両親に冷遇される毎日、学校でもあまり人と話さないため孤立気味...
こんな毎日になんの意味があるのだろうと考えながら家路につく。
実家である東雲家はいわゆる名家の部類にあたるため、両親も秀才な兄を優遇するのも当たり前かと自分を毎日無理やり納得させる。
「ただいま。」
リビングに両親の影は見えるが返事はない。
今に始まったことでもないため、いつも通り自室に戻る。
ルーティンのようにゲームを起動し、今日も自分の世界にこもる。
そんな毎日を過ごしていた日、就職し一人暮らしをしている兄が急に帰ってきた。
「ただいま‼」
両親の顔がいつも以上に明るく見えた瞬間、兄がとんでもないことを言い始めた。
「奏召‼」
「この家を出るぞ‼そしてお兄ちゃんと二人で暮らすぞ‼」
「それと親子の縁を切る‼」
怒涛の煌の発言に俺だけでなく、両親もぽかんとしている。
そこからは、あっという間だった。
兄の友人が俺の部屋にある必要なものを運び出し、引っ越しとは思えない速度で荷造りが終わった。
なんといってるかはわからないが両親は兄にしがみついて、色々と泣き言を言っているが、兄がすべて一蹴し、うなだれる姿が見えた。
そう、兄は重度のブラコンであり、就職し家を出たのはこの日のためだったのである。
~一か月後~
兄による強引な引っ越しが終わり、生活も安定してきた。
そんなある日だ。
俺が死んでしまったのは...