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第2話:もやもやモザイク

第2話:もやもやモザイク


三嶋の家は高校からそう遠くなく、芸能人のゴシップやらなんやら頭の片隅くらいには残りそうな話をしながら歩いていた。


そこかしこで怒鳴り声やらが聞こえるが、内心、そんなやましい事を抱えてる奴らが悪いだろう。俺にだって秘密はあるが…なんだっけな?忘れられるくらいにはどうでも良い事なのだろう。


『なんか視線感じないか?』


三嶋が話題を変える。

『確かに、さっきからそんな感じがするな。』


まさか、三嶋が元凶だとバレたのではないかなんて疑念が浮かぶが、コイツの頭上には何も浮かんでいない。


『こりゃ少し急いだ方が良いな、頭になんも出てない俺達は少数派。逆に目立つだろ。』


確かにその通りだ。人と目を合わせないように道を急ぐ。


三嶋の家は人の家より少し大きく、アマチュア無線用と思われるアンテナが立っていた。両親は共働きらしく、人の気配はない。


階段を登って2階にある部屋に上がると、見覚えがあるようなそれなりに高そうな機器が並べてあった。


聞きたいことは山ほどある。どうやってこんなものを、なんのために作ったのか。自分が口を開く前に三嶋が言う。


『ちょっと弄ってみるか?まぁ、見せながら色々話そうぜ。』


電源を付けるのを眺め、明るくなった画面に目を向ける。様々な数値がゾロゾロと並び、よくもまあこんな物を作ったものだと感心してしまった。


『どうやってこんな物作ったんだよ?』


『(三嶋は答える)』


『もう一回言ってくれ、よく聞き取れない』


何かが差し止めるようというか、もやが掛かったような…。なんと表したら良いかわからない。ただ、この内容を感じちゃいけない気がした。


三嶋の顔が曇る。顎を触りながらこちらを見てくる姿は、なんだか不気味だった。いや、最初からそうだ。不気味で仕方ない。


どうしてこんな状況を受け入れてるんだ、コイツも俺も。各地で暴動が起きて、死傷者も出てる。国だって動き出してるのに、妙に冷静だ。


なんだこの違和感は?


ガシャン!と大きな音を立てて、窓ガラスを何かが突き破る。部屋の中に煙が上がって目に染みる。


(催涙弾か何かか…?)


ドン!


自分の身体が地面に押し付けられるのを感じる。薄い煙の中で、黒い装備に身を包み、ガスマスクを付けた男が自分を押さえ付けるのが見えた。俺は多分今、酷い顔をしてる。


涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしてるはずだ。

そうだ、三嶋、三嶋はどこ行った。


アイツが俺を家に呼んだせいで。

意識が遠くなっていく。


あのクソ野郎…、もしかして俺に罪を擦りつける為か…?床の冷たさと、身体の痛みすら分からなくなってきた。

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