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護法先輩、推参 その2

 鈍太郎から話を聞いた、次の日の放課後。

わたしは、護法先輩に、鈍太郎の事を相談する為に、旧校舎にある、オカ研の部室に向かった。

そして、一つの机に向かい合って座る、護法先輩に対し、わたしは、鈍太郎から聞いた話を、包み隠さずに伝えた。

護法先輩は、わたしの話を真剣に聞いてくれていたが、わたしが「呪紋」という単語を言った途端、先輩の顔色が変わった。


「それは、どんな紋様だった?」


わたしが紙に、覚えている限り正確に、その模様を描くと、護法先輩はますます深刻な顔になった。


「こ、これはー」


わたしは、心配になって聞いた。


「先輩、この変な模様の事、知ってるんですか?教えて下さい」


護法先輩は、最初、わたしに話すべきかどうか迷っている様子であったが、やはり、情報を共有した方がいいと思ったのだろう。

この紋章の様な模様について、先輩が知っている事を、教えてくれた。

なんと、この紋章は、ヨーロッパのイングランド地方に古代から存在する、「オゥメン教団」というカルト教団が、よく使用するものなのだという。

その教団は、有名な魔術師や呪術師を数多く輩出しており、中には、物言わぬ物体に、生命を与えることが出来る者さえいたと、言われているそうだ。

彼らはキリストの死後、約2,000年後に生まれるという闇の救世主を教祖として仰いでおり、今も多くのメンバーを抱え世界中を暗躍しているのだ。

と、いうことは、その「闇の救世主」と呼ばれる人物は、もう、この世に存在しているのだろうか?


「護法先輩。先輩は、今回の事件に、その教団が関わっていると思いますか?」


わたしが机越しにそう尋ねると、護法先輩は間髪入れずに、その可能性を否定した。


「いや、思わない」


わたしに向かってかぶりを振る、護法先輩。


「こんな事件を起こしても、彼らには何のメリットもない。もしかしたら、間接的には関わっているかもしれないが。今回の事件は、おそらくいくつかの偶然と、不幸なアクシデントが重なって、起こったものだと思う。とにかくー」


護法先輩は、急にガタンと席から立ち上がると、拳を握りしめ、決意を秘めた口調で宣言した。


「美湖君の幼馴染の、白壁鈍太郎君が、何らかの怪奇現象に巻き込まれているのは、どうやら事実のようだ。ここは、我が、オカルト科学研究会の出番だ!他の会員たちにも、召集をかけるとしよう!!」


そして護法先輩は、机の向かい側に座るわたしに、今夜一緒に鈍太郎の家へ行き、幽霊少女と会ってみないかと提案してきたのだ。


「えーっ!幽霊と会うんですか!?」


さすがに、びっくりする、わたし。

やだなぁ。

そんな風に怖気付く、わたしに対し、護法先輩は更に言葉を続ける。


「怖いのは分かる。だから、無理にとは言わないよ。でも、君の話を聞く限り、無闇に人を襲うタイプの、凶暴な悪霊ではないようだ。もしかしたら、話し合う余地があるかもしれない。それに僕は、白壁君とは面識が無いし、君が仲立ちをしてくれると、とても助かるんだが」


わたしは、ハァとため息をついた。


「ううっ、わかりました。しょうがないですね。行きます」


自分から相談しておいて、護法先輩にだけ、面倒ごとを押し付ける訳にはいかなかった。


「よしっ。それじゃ、決まりだ。早速、今晩一緒に、白壁君の家に行こう。君の彼氏の為に頑張ろう!」


護法先輩が、とんでもない事を言って、わたしに握手を求めてきた。


「彼氏じゃありませんーっ!!!!!!!!!!!」


わたしの物凄い剣幕に、護法先輩は、びっくりした様子だった。

わたしが座る真向かいで、机の前に棒立ちになっており、驚いた拍子に鼻から落ちたのか、また眼鏡がずり下がっている。

本当に、サイズの合った眼鏡を買えばいいのにと、わたしは思った。


[続く]




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