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魔王様リバイブ! ~美少女魔王と始めるエンタメ迷宮運営ライフ~  作者: お芋ぷりん
第3章 魔界アイドル旋風、迷宮大騒乱!

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第6話 取材の打ち合わせ

日を跨いでしまい、申し訳ありませんぅぅぅぅっ!!!!

 




 リリカ達の荷物を客間に置き、迷宮内を一通り案内して共有スペースに戻ってきたハルト達。


 本来なら、すぐにでも打ち合わせを始めたいところだが、少々時間を置くことになった。


「ネモはともかくとして……まさかガリウスまでダウンするなんてな」

「め、面目ない……推しを前にしたら、つい、我を忘れちまって……っ」

「迷惑を掛けて済まぬな……ハルト」


 長椅子の上でそれぞれ横たわるネモとガリウス。体調不良となった二人の為に、リリカと撮影班の面々が気を遣ってくれたのだ。彼等には今、少し離れたテーブルで寛いでもらっている。


「ハルト、二人の調子はどうかしら?」

「おう、二人とも平気そうだ」


 ネモとガリウスの様子を見に、クロエがやってくる。ハルトがそう伝えると、クロエはほっとしたように胸を撫で下ろす。


「……良かった。ネモはともかく、ガリウスは特に心配だったの。かなり高齢だし、何か特殊な、重い病だったらどうしようって」

「さっきからあたしの扱い酷くない?」

「自業自得だろ……クロエは、何も知らなかったのか? ガリウスが……その、女の子が苦手ってことは」

「ええ、初耳だわ」

「トラウマになったのは、クロエ様が封印された後のことですゆえ……」


 主のクロエですら知らなかったガリウスの意外な弱点。


 魔界最強の片鱗を、修行でほんの少しでも理解していたからこそ、ハルトの驚きも大きかった。


「何がきっかけなんだ?」


 ハルトの問いに、ガリウスはどこか遠い目をしながら、ゆっくりと語り出した。


「――あれは今から百年ほど前のことだ。街で暴漢に絡まれていた小娘達を親切心で助けてな。しかし実際には感謝されるどころか、『余計なお世話』だの、『オッサンキモい』だの、『イマドキ剣士なんて流行(はや)んない』だのと言われたのだ」

「えぇぇ……」

「以来我の体は、異性の幼子を見ただけで震えるようになっていた……」

(メンタルよっわ!? ……いやでも、俺も実際に同じこと言われたら……)


 トラウマの原因は、なんてことのない人助けによるものだった。その散々な言われように、ハルトは同じ男として心底同情した。


「当時、娘には拒否反応が出なかったのが、せめてもの救いだった」

「……そんな目に遭っていただなんて。まったく、許せないわね」


 ガリウスの境遇に腹を立てるクロエ。


 その光景を見た瞬間――


「…………ん? 待てよ」


 ハルトの脳内で、ある可能性が浮かび上がった。


「クロエやネモが平気ってことは――つ、つまりっ! 二人は(とし)――」

「言わせねぇよ!」

「言わせないわよ!」

「――まンゴォェッ!!?」


 恒例のノンデリカシー発言を、容赦のない腹部へのダブルブローで未然に防ぐネモとクロエ。


 そして二人は、すぐさま緊迫感あふれる顔でガリウスへと詰め寄った。


「ガリウス様! あたしはまだピチピチの美少女だよな! なっ!?」

「わ、私もっ! そこまで歳は取ってないわよね!? 封印期間は加齢に入らない! でしょう!?」

「…………う、うむ。二人は立派な淑女だ。どうか安心して欲しい」


 女の鬼気迫る表情に、ガリウスは事実がどうであれ頷かざるを得ないのだった。


「ハルトくん……大丈夫?」


 その光景を見ていたリリカがひょこっと顔を出し、横たわるハルトの傍でしゃがみ込んで心配そうに見下ろしてくる。


「り、リリカちゃんか……パンツ見えそうだから、その体勢はやめような?」

「冗談を言えるなら大丈夫だね。それそろ打ち合わせ、始めよっか!」


 セクハラすれすれの発言にリリカが恥じらう様子はなく、そのままプロデューサーのもとへ駆けて行く。


(……プロの対応ってやつか? アイドルって、凄いな……)


 その距離感と無防備な振る舞いに、ハルトは一片の疑問も抱かないのだった。



 ◆◇◆



「――それでは、『密着、カレイドスコープ』の打ち合わせを始めさせていただきます」


 ようやく始まる取材の打ち合わせ。初めての経験にハルトが緊張する中、プロデューサーのゲッツォが話を進行させていく。


「本企画は、取材先の表と裏側――このエンタメ迷宮を、余すところなく視聴者に曝け出すことが目的です。実際に働く皆様にリポーターのリリカちゃんが迫り、質問や体験をしてもらう流れとなっています」

「ありのままの姿を晒す、ということね」

「はい、それがこの番組のキモですから。三日間で出来うる限り撮影して、後で実際に映す素材を抜粋することになるかと」


 主に話し合っているのは、ゲッツォとクロエだ。互いに対面する形で意見を述べ合っている。


「それで、撮影日程の内訳ですが、初日はクロエ様達の紹介と迷宮の運営業務、二日目はインタビュー、最終日は実際の防衛戦を撮らせていただければと思っています。予定に関しては以上となりますが、何か質問はございますか?」


 ゲッツォが辺りを見渡す中、ハルトはおずおずと挙手する。


「なんでしょうか? ハルトさん」

「!」


 体ごと、こちらを見るゲッツォ。


 その真摯な眼差しに、ハルトはギョッとした。自分たちよりも遥かに劣る人間に、そこまで(へりくだ)れるものなのか、と。


(……大人の対応ってやつなのか?)


 迷宮の主であるクロエならいざしらず、人間の――それも何百歳も差のある若造にみせる腰の低さではなかった。


「ハルトさん?」

「あっ、は、はい! えっと、防衛戦を撮影?するのは良いんだけど……リリカちゃん、と、撮影班の人は、実際に現場に入るのかな、と。ほらっ、危険だしさ?」

「なるほど。もっともご意見ですね。ですが、心配には及びません」


 ハルトのたどたどしい質問に対し、ゲッツォは目玉の形状をした握り拳ほどの魔導具を取り出す。


「目玉の……魔道具?」

「これは小型の〝魔眼カメラ〟と言いまして。遠隔から魔力で操作できるので、撮影者を危険に晒すことはありません。また、透明化の術式で冒険者の方々から発見されるリスクもなく、空中のどの角度からも撮影可能なので、ダイナミックな映像が撮れること請け合いですよ?」

(……これが魔界の技術か。慣れてきたと思ってたけど、やっぱ人間より進歩してるなぁ)


 実際にゲッツォが操作して魔眼カメラが動き回る。


 やはり、人間界と魔界の技術力の差は埋めがたいものがある。


「それと、リリカちゃんには共有スペースから、クロエ様と一緒に実況してもらおうかと」

「私も?」

「主に解説役ですね。やはり駄目でしょうか?」

「いいえ。喜んで務めさせてもらうわ」

「ありがとうございます! 他に質問がなければ、撮影を始めようと思うのですが、いかがでしょう?」


 ゲッツォが再び確認を取ると、返ってきたのは無言の肯定。


「はい……では皆さん、本日はよろしくお願いいたします!」


 そうして、『密着、カレイドスコープ』一日目の撮影が始まるのであった。





話はあまり進みませんでしたが、クスッと笑える部分は提供できたかと!


いつも読んで下さり、ありがとうございます。

感想・意見・誤字脱字などがございましたら、ページ下部から遠慮なくどうぞ!



次話の撮影パートは力を入れたいところなので、少し日を空けて4/28の夕方以降でお願いします!!

→自分への課題で書いてた短編のこともあり、少し遅れ気味です。投稿日変更は日を跨ぐ前に伝えれられればと!

 →既に告知済みですが、29に延期です。

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