プロローグ 波紋を呼ぶ一言
お久しぶりぃぃでぇぇす!
惜しくも(?)ネトコン一次選考では選ばれませんでした。ですが、愛する読者の為にも、めげずに投稿し続けます!
では、第3章始めェェェェ!!
個人が使うにしては広めの控え室で、少女はゆったりと椅子に腰を下ろしていた。
前方の大きな鏡には、煌びやかな衣装に身を包んだ自分の姿が映り込んでおり、周囲には様々なメイク道具が無造作に並んでいる。
リハーサルを終え、メイクの修正や調整も終えた今、余った時間を動画を視聴して過ごすのが、少女のルーティンだ。
「さて、今日は何を見ようかな~っと……」
最近のブームは動画共有サービスの〈プリプリ動画〉。ユーザーが投稿した動画に対してリアルタイムでコメントを書き込めるのが特徴である。
少女は平たい魔導通信機の画面を指先でなぞり、〝人気急上昇中の動画〟の欄を流し見していく。
そうして、ふと目を引くキャッチコピーの動画が表示された。
――人間界で話題沸騰中! 魔王クロエと人間が運営するエンタメ迷宮運営記録!!
「エンタメ迷宮? それに、魔王クロエか――」
気になる単語の数々に、少女のハート型の尻尾がフリフリと揺れ動く。気付けば、魔導通信機を横に持ち替えて動画を再生していた。
内容はキャッチコピーの通りであった。時折、女性の解説が入りつつ、迷宮を拡張したり、人間の冒険者が罠に悪戦苦闘したりする場面が流れていく。
しかし、視聴し始めてから三分と経たずして――
「……まっ、こんなものかなー」
少女は落胆して肩を落とした。
素人が撮影・編集した為か、視聴者の目というものをまるで理解していない魅せ方だったのだ。いくら内容が面白くとも、それを上手く魅せる技術が無くば意味がない。
「防衛戦ねぇ……もう良いや」
動画への興味は完全に失せた。
そうして、少女が動画を停止する――その直前の事だった。
「!」
侵入してきた冒険者を相手取る、彼の姿を見たのは。
「……あっははっ! この子面白いや」
拙いながらも、あの手この手で必死に敵を楽しませようとするその姿に、彼と似たような仕事をしている少女も思わず笑みこぼしてしまっていた。
何より、画面に表示された――その男が〝人間〟だという情報が、少女の興味を再燃させる。
「少し興味が出てきた……ん?」
極め付けは、ある一つのコメントであった。
『財宝を狙う冒険者を楽しませるのが趣旨っぽい?』
「……へぇ〜」
コメント欄に流れてきたそのコメントは、少女の興味を一際強く引き出す。
「……まさに、ボクにうってつけのステージじゃないか」
少女は妖しく笑みを浮かべると、舌を艶かしく唇に這わせる。
その表情は、まるで新しいオモチャを見つけた小悪魔のようで――
コンコン。
「――リリカちゃーん、本番五分前で~す! そろそろスタンバイお願いしまーす!」
「うん、わかった! 今行くね〜!」
控え室のドアの外から聞こえた男性の声に、少女は明るく声を返した。
仮面の男が映った場面を最後に再生を止めると、魔導通信機を後ろへ放り投げる。
「ボク、ここに行ってみたいなぁ……」
椅子から立ち上がり、少女は振り返りながら呟いた。
その瞳は星の如く爛々と輝いており、魔導通信機をキャッチしたスーツ姿の女性へ催促するように向けられていた。
この手の無茶ぶりは日常茶飯事のようで、彼女は困惑した表情で大きく溜息を吐き、暫しこめかみに手を当てる。
「…………なんとか伝手を頼ってみるわ」
「うん、お願いね!」
思い悩んだ末に絞り出された言葉が返ってくると、少女は満足げに微笑んで――
「さてとっ! 愛しい愛しいファンの為に、今日も頑張るぞ~!」
自分を心待ちにしているファンが集うステージへと向かったのだった。
いつも読んで下さり、ありがとうございます。
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新作が始まった!?と思ったそこの貴方!
心配ご無用、これは貴方の知っている魔王様リバイブ!です。ネトコン落選で迷走した訳でも血迷った訳でもありません。
まぁ、このプロローグはWEB版に合わせて追加したものではありますが(笑)。
それと、色々ツッコみたい所はあると思われますが、〇〇は技術が進歩している! そう納得させて下さいや。
投稿周期は前と変わらず一日おき。変更する際はその都度お知らせします~。
次の投稿は、11/3の夕方以降の予定です。
⇒追記。改稿と推敲に納得がいっていないので、誠に勝手ながら【11/4】に延期致します。申し訳ありません。




