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魔王様リバイブ! ~美少女魔王と始めるエンタメ迷宮運営ライフ~  作者: お芋ぷりん
第2章 魔王が誇る最強の忠臣

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第15話 修行の成果

Xで、今日の投稿は日を跨ぐかもと言ったな?

あれは嘘になった…………ガッカリした読者の皆、すまない!

 




「どこだ! ハルベルトォオオオ!」


 冒険者のジンは怒りに任せ、乱暴に扉を蹴り開ける。


「よ、久しぶり。元気してた? 俺は超元気!」


 果たして、そこには仮面を被りし魔族――魔装戦士ハルト(ハルベルト)が立っていた。


「テ、テメェって奴はっ……なんで冒険者の心理を突く罠ばかり仕掛けるんだッ!!」

(俺が冒険者だからダヨ!! ――なんて、とても言えないよなぁ…………)


 仮面の下で苦笑いをしながら、頭を掻くハルト。


 魔王に協力している以上、ハルベルトの正体――即ち、ハルト自身の身バレは必ず避けなければならない。逆に自ら教えたとしても、魔族の話を信じて貰える訳でもないのだが。


「その方が遥かに面白い! ――って理由じゃ、不服か?」

「あぁ不服だね! 迷宮には、珍しい財宝を取りに来てるだけだからな……迷宮攻略が娯楽である必要はねェ!」

「本当にそうか? 行く手を阻む罠や守護者……仲間と苦難を乗り越えた末に手に入れる宝。その過程こそが面白いんじゃないか! 俺はその手助けをしてるだけに過ぎない」

「余計なお世話だ、ヘボ魔族!!」


 ハルトは迷宮哲学を爽やかに語ってみせたが、怒り狂うジンにとっては(まさ)に火に注ぐ油。全く取り合っては貰えなかった。


「本当は面白いって思ってる癖に我慢しちゃって……じゃあお前は、何の為に冒険者になったんだよ」

「金の為に決まってんだろがァ! 頭おかしいんじゃねぇのかッ!」

(そこは〝迷宮の為!〟って答えるとこだろ!? 金の為ってのも分かるけどさぁ!?)


 同じ冒険者として、ジンにシンパシーを抱いてしまうハルト。


 この者に限らず、冒険者の大半は一攫千金の夢に魅せられた馬鹿の集まりだ。もはや、分かり切った答えではあったが、それでも聞かずにはいられなかった。


 少しでも迷宮を楽しんで欲しいという想いがあったから。


「なら、超エリート戦士であるこの俺を倒してから持ち帰るんだな」

「上等だ! 今度は油断しねえぞォ!」


 互いの意見が割れた今、もはや話し合いは無用。元よりハルトとジンは敵同士だ。


 両者共に剣を構え、互いを見据える。


 二人の闘志がエリアに満ちる――


「では今度こそ見せてやろう。超エリート戦士の圧倒的パゥワァを!」

「ほざけェ!!」


 その瞬間、ハルトとジンはどちらからともなく走り出した。


「はぁあああっ!!」

「死ねェェッ!!」


 小細工も弄さず真正面から攻め、互いの影が交差する。


「「…………」」


 両者共に一撃ずつ。剣を振り抜いた体勢で残心する。


 やがて、一方の体から軽い血飛沫が舞った。


「――ぐっ、アアアアッ!?」


 酷く狼狽えた様子で斬られた肩を押さえたのは、なんと冒険者のジンであった。


「ば、馬鹿な……!! 希代の冒険者であるこのオレがッ、なんでヘボ魔族なんかにッ……」


 あろうことか、ハルトはジンの一刀を無駄のない身のこなしで躱し、強烈な一撃を叩き込んでいたのだ。


 数週間前まで戦闘弱者()()()ハルトが、だ。


「どうした冒険者。その程度か?」

「くっ、マグレに決まってる! オラァアアアッ!!」


 前回圧倒した相手に一撃を加えられた。


 その受け入れ難い事実に、ハルトに煽られたジンは再び攻勢に出た。


 だが――


「なッ……!? 当たらねェ!!?」

「よっ、ほっ、あらよっと!」


 ジンが繰り出した無数の斬撃は、ハルトにより余裕綽々に避けられてしまう。


 まるで、風に舞う羽のようだ。


 自身の攻撃がことごとく敵をすり抜ける。かつて味わったことのない手応えの無さが、ジンの心に大きな焦りを生む。


「ク、クソがぁああああ!!」


 力を込めて振り下ろした大振りの一撃を、ハルトは身を軽やかに翻して躱す。


「ハッ!!」

「ぐぅっ!!?」


 そして、一瞬の脱力の後に振り抜かれた剣が、ジンの横腹を僅かに切り裂くに至った。


「う、ぐぅぅ……っ! な、なんで当たらねぇんだァ……!?」


 自らの腹部を押さえて膝を突くジンに、ハルトは腹の底から笑いを込み上げてくるのを止められなかった。


「フハハハハッ! どうだこの身の(さば)きっ、俺の修行の成果は!!」

「な、何!? テメェも修行しただと!?」

「え、お前も?」


 妙な共通点に、互いに顔を見合わせる。


「そうだ。だがッ、あんなに弱かったテメェが、一体どうやってそこまでの実力を身に付けやがった!?」


 その問いに、ハルトは仮面に片手を添え、いかにも余裕ありげな口調で始める。


「フッ……お前には、この俺がどんなに苦しい目に遭ってきたか分かるまい」

「なにっ?」

「望んでもいない実践稽古で、クソ師匠に何度も、何度も痛めつけられっ……高速の斬撃を避ける恐怖に怯えつつ、尚且つ一撃を入れないといけない毎日――っ、本当によく耐えたっ……おれっっ!!」


 ――が、あまりに辛く厳しい修行に耐えた影響か、途中から声が震え出し、苦労のあまり涙さえ流していた。


「ま、魔族も大変なんだな……その、頑張れよ?」

「ありがとうっ……お前良い奴だな……!」


 挙句、敵であるジンにまで同情されてしまう始末だ。


 ハルトは更に感涙してしまった。


「よし、同情してくれた礼だ! 一つ、良いことを教えてやろう」

「あん? ん、んだよ……?」

「実は今、そのクソ師匠が……」


 ジンの目に浮かぶ疑念を他所に、ハルトが敵に塩を送ろうとした、その時――


『ぬぅわぁあああああああっ!!!?』

「!?」


 戦闘部屋を隔てた扉の更に遠くから、男の野太い断末魔が響き渡った…………





あの野太い悲鳴は、誰のものだったのでしょう……?

ジンの仲間である女斥候ユリアナ?

同じく仲間の鎧戦士ゴルトン?

それとも…………ただの演出??



今日の話が短めなのは、より緊迫感と緊張感を持続させる為、悩んだ末に次話とシーンを区切った為……

⇒追記。執筆が間に合わず、16話の投稿は10/16の夜に行います。申し訳ありません。

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