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白い妖精には旅をさせよ

「クッカ・クーカウシ・ルミケンッタ。いい名前だろう?」

「なるほど。洒落た名前の娘さんですね」

「違うぞ?」

「複雑なご家庭で「違うからな?」

「違うの?」

「乗るんじゃないクー」

「(ヴァンさんって他人をあだ名で呼ぶ事あるんだ、意外)」


見た目は似ても似つかない、名前も全く違う二人だが、

養子でもないなら何なのだろう。

こほん、と咳払いをしてから、ヴァンは説明する。


「彼女は同僚の妹さんでな、行き先が同じだから付いてくるんだ」

「へぇ、そうなんですね。何で行くんですか?」

「車を手配したぞ」


というわけでやってきました町の端、関所です。

コンクリートか何かでできた厚い柱と、高い鉄柵が道を塞ぐ。

ちょっと校門みたいだ、渗手はそう思った。


「どうもー」


助手席のヴァンが守衛に気さくな挨拶をする。


「おぉどうも、旅行かな?」

「まあそんな感じさ、ゲートを開けてくれないか」

「あいよー」


後部座席からでもわかるくらいすんなりと、手続きも何もなく、

ゲートから出国できた。

眼前には荒野。道も何もない旅路が見える。


「パスポートとか無いんですか?」

「あるにはあるんだが、普及してないな」

「なぁにそれ?」

「元の世界では出入国の手続きって色々あるんですよ」

「入国なら無いことも無いが、まだ外交って概念が希薄な地域も多いからな」

「大丈夫なんですか、それ?」

「細けぇ事キにすんなヨ!!」

「(なんでこんな癖強ドライバーなんだろう)」


ヴァンが手配したという男は怪しいサングラスにちりちり髪の変な男。

特にサングラスのレンズが片方しかないのが変だ。

やけにテンションが高いし口調もなんだか変。

......なのだが、市街では至って安全運転だったし、

ドライバーとしての腕は疑うべくもない。

でも不安になる。


「さァて、街から出たからにはいっちょトバしていくヨ!!!」

「うわぁやっぱりヤバい人じゃないですか!!」

「大丈夫だ大体無事だったから!!」

「リピーターなのぉ!?」


一気にアクセルが踏み込まれる。

Gによりクッカの口にストローが刺さった。痛そうだ!


「アッ野盗だ!!」


やたらデカいタイヤ!

乗りにくそうな車高!!

絶対意味無いトゲトゲ!!!


「世紀末ーーー!!?」

「最近多い。振り切れる?」

「モチロンッッ!!」

「なんで冷静なのぉ!?」


さらに加速する車体。

乗る前はホンダか何かの一般車に見えたが、見るとメーターが振り切れている。

多分何かしら改造されているのだろう。


「ヴァンさんあと何キロですか!!」

「わからんがとりあえず伏せろ!撃ってくるぞ!」

「ぇあ!?」


頭を下げたウォルプタの眼前に銛が突き刺さった。

イスから飛び出したワタが顔に吹きかかる。


「えっ!?えぇっ!?」

「ヴァンさん!?」

「鎧着ておいてよかったなハハハ!」

「ちょっと調査するだけってトライ置いてきたのが間違いでしたよ!」

「ヨーシ後部座席の連中!銃があるからぶっ放してやりナ!!」

「魔術の方がいいんじゃない?」

「銃声がアガるってモンでしょ!!」

「ん。ヴァン、コイツ大丈夫なの?」

「気にするな!ちなみに私はノーコンだから期待しないでくれ!」


確かに足元にはよく見るとトランクケースが組み込まれており、中にはいくつかの銃が入っていた。


「撃ったことないですが!?」

「私もだよぉ!!」

「威嚇でいいでしょ。えい」


躊躇なくライフルをぶっ放すクー。

威嚇などと言いつつ野党のバイクに当たった。


「あぁっショッキングなことに!!」

「パラリラパラリラ煩いんだよ」


手慣れた様子で撃ちまくる。

よく見ると左手を抱きかかえるような独特な構えだ。


「(手慣れてて怖いよぉ!!)」

「シズ、そっち行った」

「っ!?もう何とでもなれ!!」


手近にあった拳銃を適当に撃つ。

巨大な音と衝撃が響き、反動で天井に銃を打ち付けた。


「いっったぁ!!!!」

「うるさい」

「50口径!ニイチャンわかってるネ!」


適当に撃ったもののちょうどエンジン部に命中したらしく、被弾した数瞬後に盛大な爆発音が聞こえた。


「やるじゃん」

「本命が残ってますが!?」

「平気」


大型車の助手席から大きな獲物が出てくる。


「ロケットランチャーじゃないですかー!?」

「遠くじゃケータイより安いらしいネ!」

「あわわわわわわ」


パニックになる異邦人二人。

まるで世界が違うかのように、少女はにやりと微笑んだ。

火筒が火を噴き、飛翔体が空を裂く。


「秘せる三つ編み」


詠唱と同時に氷が車体を覆い、さらに外側にワイヤーのように氷柱が伸びる。

ケージアーマー。安い対戦車兵器への対策として考案されたものだ。

爆風によってトランクの蓋が脱落し、後部ガラスが砕け散る。


「じゃあね」


ガラスの向こう、煙の中から円盤と球が飛び出す。

重い対戦車地雷をこともなげに投げつけた。

地面に落着した直後、一緒に投げられた氷の塊が信管を圧す。

一番大きな音と共に、モンスターカーは砕け散った。


「わ......ぁ......」

「いつも...こうなんですか...?」

「今日はいつもより派手だったかな」

マイン(地雷)使うとは思わなかったネー!ちゃんと動いてヨカッタネ!」

「汚れた。シャワーある?」

「目的地に着いたらな?」

「もっと重要な問題があると思います!!」


弾痕やらで後部が大変なことになっているし、

もちろんパンクしていて乗り心地も最悪。

それでも旅は終わらない。

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