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東公先生 論議を語る
ある時、東公先生、知人より書物を借りる。
東公先生これを熟読し知人に返すとき、その書物について知人と激しく議論す。
東公先生とその知人、その書物について賛否分かれたるも、互いによく論じ、その論を戦わせたるに満足す。
東公先生その知人に向かいていわく。
愉快極まりなし。
理の有無のみにて論じ、また別なる論を聞きて新たに理を見いだす。
これ、理にてのみ論ずる者の喜びなりと。
知人東公先生にいわく。
是なりと。
また我新たなる書物を入手したらば子にも貸す。
再び論を戦わすべしと。