93/124
東公先生 秘訣を語る/東公先生 得手不得手を語る
東公先生 秘訣を語る
街に齢百と称する老人有り。
街の古き出来事、古来の風習に通じ、街人より敬わる。
ある時、童の遊ぶを見て老人問いていわく。
我この遊び初めて見る。如何なる遊びかと。
童答えていわく。
我が作りし遊びなり。かく遊ぶものなりと。
老人その話よく聞きて憶えんとす。
東公先生これを聞きていわく。
物事に通じる秘訣は、その知らんとする意の強きことと、物事をよく観よく聞くことにありと。
--------------------------------------------
東公先生 得手不得手を語る
東公先生かつて泳ぎを習うことあり。
されど上達せず。
ある時、街の子ら、ある童に泳ぎできずとしてこれを虐めたり。
東公先生これを見ていわく。
他の者と同じことのできぬ者しばしば虐めらるる。
されどそれその者に他に秀でたるところ無しとするものにあらず。
人長ずればその秀でたるところにより他の者これを評す。
故に人と同じことできぬとて侮るべからず。
これ東公よく知るところなりと。