表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/124

東公先生 卵を語る

ある日東公先生の家に卵届く。

東公先生送る者の名に覚え無きも、卵腐ること恐れ東公先生の命にて一を除きこれを食す。残る一はやがて腐りたり。


一月過ぎてある男訪れていわく。

我、この家の隣家に卵を贈りたるも届かずという。

この家の者卵の行方知らざるやと。


東公先生の家人答えていわく。

一月前に何某より卵届くことありたりと。


訪れし男いわく。

その何某とはまさに我なり。卵誤りによりこの家に届く。我に卵返すべしと。


東公先生の家人答えていわく。卵既に我ら食せるが故に返せずと。


訪れし男忽ち怒りていわく。

かの卵南方の貴き鳥の卵ゆえ値万金なり。卵返せずと言うならその代わりに一万銭を我に払うべしと。


家の中のてそれを聞きたる東公先生密かに裏より家を出て隣家を訪ね、何某なる男を知るかと隣家の者全てに問うも、皆知らずという。


東公先生それを聞きて、隣家の主に届きし卵を東公に譲られよと言う。

隣家の者これに応ず。


ついで東公先生隣家の主を連れて家に戻り訪れし男に問いていわく。


我この家の主人なり。

汝その卵を隣家に贈りたると言うかと。


訪れし男いわく。

是なりと。


東公先生いわく。

その卵、隣家の者より東公が譲り受けて食す。故に代を払う理無しと。


また隣家の主もこれを肯んじ(がえんじ)たり。


訪れし男さらにいい募らんとするに東公先生これを制していわく。

その卵、一つ腐りてあり。

汝腐れる卵を贈りたるものか。

我役人にそう申し立てんと。

訪れ男すぐさま逃げ出したり。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ