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東公先生 日常を語る/東公先生 因果を語る
東公先生 日常を語る
ある村より行商の者珍しき産物もたらす。
街人こぞりてこれを求む。
その様を見しある人いわく。
皆珍しきもの求めるも、それこれまで無くとも不都合無きものなり。
何故皆高き代払いてまで求めるかと。
東公先生いわく。
人皆日々の同じこと繰り返す暮らしに倦むときあり。
されば珍品にて日々の倦みを晴らしてまた日々に戻る。
故に日々過ごし行くために高き代にても珍品を求むると。
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東公先生 因果を語る
ある時、帝の病に倒れしとの報街に届く。
街人暫しその話するも、程なくして、我には関わりなしとて忘れる。
東公先生その様見ていわく。
帝倒れなば、隣国好機と見て攻め来たることあらん。
帝薨れ(みまかれ)ば、後嗣巡りて国乱れることあらん。
いずれも兵乱この街をも襲うべし。故に街人に関わりなきことにあらず。
我が身保たんと欲すればよくその報の続きを求め四囲の情探るべしと。




