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東公先生 飴を語る
ある人、東公先生のもとを訪れたる時、飴を持参す。
東公先生、家を訪れたる子らに、訪れる度に一匙ずつその飴与う。
やがて飴尽きて子ら争う。
ある子、飴を多く得た子に向かいていわく。
我与えられたる飴汝より少なし。多く与えられたるは狡しと。
東公先生いわく。
東公飴を訪れたるものに隔てなく与えたり。
飴を多く食べし者は、早くに東公の飴を与えるを知るか、東公が訪れし者に隔てなく与えることを知りて数多く訪れし者なり。
すなわち多く得し者は、広く知識を集め、よく自ら理を見極め、努力せし者なり。これを狡しと言うは誤りなりと。