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東公先生 烏賊を語る

東公先生今だかつて烏賊を食したことなし。


ある人、東公先生に烏賊の有様を伝う。

すなわち海中に烏賊なる魚ありてまことに美味なり。焼けば香ばしく、干せばまた旨し。その姿形白き体に頭大きくひれ有り。頭の下に胴ありて眼は大きく胴につく。胴より足生える。足の数十本なり。また墨を持つと。


東公先生いわく。

烏賊なる魚、墨を持つならば文字を解せざることなし。また、十もの足あらば筆も使えん。眼大きければ物事よく観ること適い、頭大なればますます賢ならん。さようなものはもはや人の食して良きものにあらずと。


東公先生に烏賊を伝えし人呆れて帰る。


そのこと聞きし人、後に東公先生にいわく。

我も烏賊を知れるも東公先生の言わんがごとき賢にして文を解する魚にあらずと。


東公先生いわく。

もありなんと。


聞きし人問う。

されば何故東公先生かくのごとく言いしかと。


東公先生答えていわく。

東公、美味を好む。されど、海に行くこと叶わず。されば食すこと叶わぬ美味なるもの有りと思うより、食ならざるもの有りと思うが心やすき故なりと。


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