表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/124

東公先生 落とし物を語る

東公先生、街にて筆を買い求るに、途上にて落とす。


家に帰りて気づきていわく。

東公新しき筆を何処にか落とし来たり。


それを聞きてある人いわく。

東公先生、店まで戻るべし。途上にそれあらば拾うべし。なくば戻りし店にて別の筆を求むべしと。


東公先生得心して店に向かう。

途上にて筆を見出したり。


東公先生いわく。

これ東公の落としたる筆に似たり。

されど確信できず。

もし異なるに東公持ち去れば東公筆盗人とならん。

されど筆ここに落ちたるまま筆の異同を確かむるには文房店の主人をこれに連れてこざるを得ず。その間、筆盗人現れて持ち去るかもしれず。いかんせんと。


東公先生ふと見渡し人の通るに気付く。しこうしていわく。

筆の見張りを頼むべしと。


東公先生落とし物をしたるを恥じて情を言わず筆の見張りのみを頼みて店より店主連れて戻る。


筆の周り多くの人々集いて興を持て筆を見る。

口々にいわく。

東公先生この筆を見よと言いて立ち去る。必ずこの筆に面白きこと起こるべし。皆見よと。


東公先生いわく。

東公の落としたるは筆ならず。名なりしかと。


東公先生人々に向かい情を話す。

皆人おおいに笑いて散ず。


路上の筆は東公先生のものなり。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ