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東公先生 警戒を語る
ある夜、東公先生の家の近くの家に盗人はいる。
家人それを聞きて、夜、寝ずに番をすべしと言う。
東公先生それを聞きていわく。
もし、明かりをつけて番をせば、やがて番を解く日が来たりなば、明かり消えたるにより盗人に皆寝静まると知らせるがごとし。
明かりをつけずに番をせば、捕らえんとするに盗人汝らを襲わん。
番をするに良きこと無しと。
そもそも、盗人も、このあたりの家々の警戒強まると考えるべし。
されば、暫く盗人このあたりの家にて盗みを働くこと無しと。