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東公先生 二律背反を語る
日々寒さ増し冬ついに来たる。
東公先生、朝、家人起こしに来るも温かき床より出るを拒みまどろむ。
ようやく起きて朝の食事せんとするに、全てのもの既に冷めたり。
家人いわく。
朝我が起こしに行きたる時に先生起きたれば、温かきまま食することかないしにと。
東公先生いわく。
東公、床の中におりし時は温かいまま食するよりも、温かきまま床にあることの方が良しと考えたり。
床より出でた今となりては、まず温かきまま食するが良しと思う。
これ、人の常にて、東公をせめる事なかれと。