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東公先生 常連を語る
ある日、東公先生隣の街にて書物を求めんとて朝早く家を出る。
隣の街への途上、隣街にて書物を売る商人の隣街より来るに出会う。
東公先生いわく。
東公まさに子の店にて書物を買わんとして向いたる途上なりと。
商人いわく。
我東公先生に是非にお買い上げ願いたき書物を入手したにより東公先生を訪ねんとせしところなりと。
東公先生いわく。
されば、その書物を今東公に見せられよと。
商人持参せる書物を東公先生に見せる。
東公先生この書物を頗る気に入り買い上げて直ちに家に戻りて熟度していわく。
かく東公の求める物をよく知る者のあるは誠に得がたき幸せなりと。