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東公先生 目的意識を語る
東公先生の近くの家に旅人訪れる。
その旅人、その家の主の古き知人なり。
その知人いわく。
この近くに高名なる東公先生が住まうと聞く。一度会いたしと。
その主、知人と共に東公先生の家を訪ね来たり。
東公先生知人にいわく。
汝なにゆえ東公に会いに来たかと。
知人答えていわく。
高名なる東公先生のお話を伺いに来たと。
東公先生いわく。
何の話しを求めるかと。
知人答えていわく。
東公先生の話しであれば如何なる話しでもと。
東公先生いわく。
東公が話しは何も求めずして聞くのみにては役に立たず。
自らの求めるところを熟考し東公に問えば東公が話しは益とならんと。
知人喜びていわく。
我、東公先生より益なる話を聞きたりと。