表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~  作者: 八神 凪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/81

その70 ムーンライト


 ――夕食を終えて山登りの疲れを癒しながら山頂で談笑をしつつ俺達はムーンライトが採れる石が照らされるのをじっと待っていた。

 しかし月が頂点に達した瞬間と言うのは夜中に該当するので黛やネーラ、フローレ達はすでにテントで寝入り、俺もうとうとしていた。


 あ、これ寝るなと思った瞬間――


 「来たぁぁぁぁぁ!」

 「みゅー!?」

 「みゃぁぁ!?」

 「うおおおお!?」


 急にグランガスさんの大声が山にこだまし、子ネコ達がびっくりして俺の下にやってきて粗相をした。


 「おお、怖かったな……ほら、お尻を見せろ拭き取ってやる」

 「みゅー……」

 「みゃみゃ!」

 「こら、キサラギ暴れるな」


 驚いたショックのせいかキサラギが少し鳴き声が変わった気がする。それはさておき、子ネコを眠っている黛の懐へ入れて落ち着かせてやると、つるはしを持ったグランガスさんと数人のドワーフのいるところへ近づく。


 「ふあ……グランガスさん、もしかしてムーンライトが?」

 「うむ! 雲が無く純度の高いものが採れるぞ……多分!」

 「いや、そんな不確定なことを力強く言われても……なにか手伝うか? オーガ達は周辺の警戒で近くに居ないから俺しか手伝えないけど」

 

 すると若いドワーフが石を細かくしながら俺に言う。


 「スミタカさんは待っていてください! 俺達の集落はスミタカさんのおかげで野菜が潤っています。ここで少しでも恩返しをしますので、お待ちを!」

 「すでに僕たちの間ではスミタカは敬う存在だから仕方ありませんよ。さ、夜食を作りましょうか」

 

 エルフの男もそんなことを言い、俺はとりあえず頬をかきながらグランガスさん達の作業が終わるのを座って待つ。


 そして――


 「――い、おい、スミタカ殿」

 「ん、んん……? ふが……グランガスさん? あれ、俺は……寝てたのか……」

 「うむ。ぐっすりじゃったわ。いや、それより、求めていたものが手に入ったぞ!」

 

 その言葉に俺は眠気が飛び、グランガスさんに詰め寄ると歯を見せて笑いながら手に持っていた鉱石を見せてきた。

 その石は白く、ほんのり輝いているように見える。角度を変えると黄色っぽくも見えるので不思議な石だと感嘆の息が出てしまう。


 「こりゃ神々しいな……確かにこの杖に使えそうだ。というか適当に流していたけど、本当に神様の道具なのかねえ?」

 「まあ精霊ってことならありそうだが、どうした? 神様信じていないのか?」

 「俺の世界にはガチでそういう存在を信じている人も居ればそうでない人もいる。実際に見たことが無いからそんなもんだ」

 「ふうん、俺達は神様に感謝しているけどなあ」


 グランガスさんがそう言ったことに、俺はふと思っていることを口にする。


 「ふうん、神様が居るならエルフやドワーフ達は人間に迫害されなかったんじゃないかなって俺は思うけどな。俺の両親が死んだときも、助かるか五分ってところだったけど結局亡くなっちまった。神様なんて俺達を助けてはくれないもんなんだよ」

 「……」

 「ん? どうしたんだグランガスさん、アホみたいに口を開けて……いてっ!?」

 「やかましいわ。……そういう考え方もあるかと思っただけだ。なるほど、お主はこの世界に来るべくして来たのかもしれんな」

 「どういうことだ?」

 「いや、なんでもない。下山は体力を使うからしっかり寝よう」

 「あ、ああ……」

 

 グランガスさんは何故か優しい目をして俺を見た後、寝どこへ。気にはなったものの、眠気が限界が来ていたので黛の隣に横たわり眠りについた――


 そこで俺は不思議なことに、両親の夢を見る。見慣れたふたりの、すでに懐かしいその姿を――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ