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俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~  作者: 八神 凪


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その18 種族の違い


 「みゅー……」

 「みゃー……」

 「おお、怒鳴ったりして悪かったな」


 珍しくサバトラもか細い声で鳴き、俺の足をかぷかうと噛んでいた。俺は二匹を母猫の背に乗せると、ミネッタさんや族長、それとベゼルさんへ言う。


 「細いのはエルフ特有のものかと思ったけど、違うんだな。そういうこいつは子供たちに分けてくれ、俺は要らない」

 「しかし、客人はもてなすのがしきたりなのだよ、メインディッシュが無いのは……」

 「エルフのしきたりに対して申し訳ないけど、流石に腹をすかせた子供の横で満腹にはなれないよ。俺が人間ってことでこれはみんなに分けてもらえないか?」

 「子供って言ってもスミタカさんより歳は上ですけどね。あの子でも三十歳ですし」

 「余計なちゃちゃを入れないでくれフローレ。なあ、最長老か族長、分かってくれ」


 ベゼルさんを困らせるためではないけど、結果的にそうなっているので俺は助け舟を出してもらうためミネッタさんとウィーキンソンさんに声をかける。


 「はっはっは! なるほど、本当にお主はこの世界の人間じゃないのじゃのう。もてなされれば、そのあたりは気にしないものじゃが、お主は本当にいいやつらしい」

 「いや、みんなそんなものだろう?」


 そう返すも族長は首を振って答える。


 「お前の世界はどうか知らぬが、この世界では客はそういうものなのだ。客は客として。ワシが別の集落や種族の場へ行けばたとえ餓え寸前でももてなされるのだ」

 「むう……」


 世界と種族が違えば常識も変わる。そう言いたいのだろうけど、やっぱり俺は受け入れるのが難しいので、ミネッタさんへ言う。


 「まあ、村や種族で納得しているんだろうけど……俺はやっぱりみんなで笑って飯を食いたい。これが俺のというなら受け取るけど、それなら俺の常識も持ち込ませてもらっていいか?」

 「……? どういうことじゃ?」

 「いいか悪いか、それだけ聞かせてくれ」

 「ふむ、良かろう。それでどうするのじゃ?」

 「一旦家へ帰る」


 そう宣言すると、エルフたちがざわざわと騒ぎ始め、ネーラが俺の袖を引っ張って口を開く。


 「お、怒ったの?」

 「半分くらい、かな? とりあえずちょっとやりたいことができたから戻るだけだ。すぐ戻る」

 「承知した。丘の上じゃったな、ベゼル護衛を――」

 『私が一緒に行くわ。いいでしょ?』

 「ああ、心強い。すまない、すぐ戻る!」


 重いかなと思っていたけど、母猫はそんなことは苦でもないといった感じでサッと村を飛び出て行く。丘は緩やかだけど坂は坂。登りになるんだけど、母猫はものともせず駆け上がっていく。


 「おう!? 速いな!」

 『そりゃもちろんよ、私はお猫様だからね』

 「自分で言うのかよ!?」

 「みゅー♪」

 「みゃー♪」


 俺の腕に抱かれている子ネコも母猫が自慢だとばかりに嬉しそうに鳴き、程なくして家に到着。すっかり暗くなってしまったけど、家の周りはほんのり明るかった。


 『崖に生えているヒカリゴケのせいかしらね? 幻想的な感じがするわ』

 「確かに……おっと、早く戻らないといけないからササっとやるぞ!」


 ◆ ◇ ◆


 「……行ってしまった」

 「もう帰ってこないとか? 磔にされても怒らなかったのにめちゃくちゃ怒ってましたけど」


 フローレがそういうと、ネーラが悲し気な顔で振り向き、フローレをぽかぽかと叩きながら口を開く。


 「そんなこと言わないでよ! 良かれと思って連れてきたのにエルフの印象悪くなったみたいじゃない!」

 「まあ、大丈夫じゃろ。お猫様が一緒じゃからな。それに荷物も家においてあるのじゃろう?」

 「た、確かに……でも、スミタカの家にはいっぱい物がありましたし、捨ててでももう来ないとか……」


 悲観的に考えるネーラが膝をついて頭を抱える。

 猫を連れたスミタカが村の為になればと思っての行動だったが、悪影響しかなかったなら自分のしたことは悪いことだったのではと。


 「まあ、待つしかあるまい。スミタカはそこまで短気でないことを願おう」


 ◆ ◇ ◆


 「くそ、煮込みが甘いけど仕方ないか」

 『いい匂いね』

 「ま、家にあるものを適当に料理しただけだけどな。そういや、エルフって食べられないものとかあるのかね?」

 『お猫様の記憶からすると問題ないはずよ。それにしても、初めてあったエルフにそこまでしなくても良かったんじゃない? 磔にされたし』

 

 丘を下りながら母猫が俺に言う。


 「それはそれだな。やっぱり困っていたり、食事がきちんと与えられないみたいなのは見ていて堪える。俺も両親に捨てられたクチだし、できることはしてあげたいと思うよ」

 『ふふ、私達は運が良かったわね』

 「ん?」


 俺の疑問には答えず、速度を上げる母猫。ちなみに子ネコは時間が遅くなったのと、昼間遊んでいたせいかすでに眠ってしまっている。胸ポケットに頭だけ出して休ませてやっているがとても可愛い……


 「お、村が見えたな」

 

 俺は鍋やタッパーが入った袋を握る力を強めて声を上げる。

 

 ……本当はこういうのはダメなのかもしれないけど、宴の席ならいいよな?


 そう、自分に言い聞かせながら再び村へと帰るのだった。

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