クラスで転移して無能扱いされた後、異世界でテンプレ非常識イきり無双してハーレムを作った俺、元の世界に戻ったらステータスが完全にリセットされ落ちぶれ、孤独死したら異世界から戻って来た日に逆行する。
孤独で、侘びしい人生だった。
俺は築何十年のボロアパートの一室で最期を迎えようとしていた。
もう体が動かなかった。以前から体の調子が悪かった。だが病院に行く金も無い。金を稼ぐだけの体力も無い。
そして自分の死を悲しんでくれる人も、看取ってくれる人も、助けてくれる人間もいない。
テレビで偶に見る、老人の孤独死。
まさにそれが今この瞬間自身に起きようとしていた。
「どぉ…しぃ……て」
こんな事になったのだろう。
数十年前。当時高校生だった自分は、クラスメート達と異世界に召喚された。
そこらの三文小説のような出来事がまさに現実に起きたのだ。
そしてその後の展開もありがちな感じだった。
全員の能力をステータスオープンと言ってステータス画面を開き確認して、そこにあった自分の能力はまさしく雑魚、もしくは無能と言って差し支えないものだった。
クラスの中心だった者たちは全員高ステータスで、周りの連中も彼らほど高くはないが自分の能力に比べれば間違いなく優秀のそれだった。
結果、自分は肩身の狭い思いをすることになった。こういう時、三文小説だと大抵クラスの自分に好意を寄せているマドンナポジの子が助けてくれたりするが、生憎現実である。元の世界じゃ無能で馬鹿で不細工で陰キャキモオタの自分を好きになってくれる、助けてくれる子なぞいるわけもなかった。というか、マドンナポジの子はクラスのリーダー的な存在かつこの世界では光の勇者とかいう職業になっている奴と付き合ってる。
そこからは正にテンプレだ。
モンスターとクラスメートと戦い、クラスメートと逸れ、強力なモンスターのエンカウントして死にそうになり、紆余曲折の果てに力が覚醒。いわゆる雑魚だと思っていた俺の能力は実は世界最強の能力だった!! 的な奴である。それからはクラスメイトから離れて単独行動を取り、彼らを内心無能だの雑魚だの罵りながら、自分の本来のアレっぷりを棚上げして、さも自分はこんなに苦労してきたんだ、こんなにつらい目にあいながらも乗り越えてきたんだ!だけど俺は群れない!俺は一匹狼!あれ?だけど女ばっかりが来てハーレム作って自分をパパと呼ぶ子まで現れたぞやれやれしょうがねぇなというテンプレを送りつつたまたま俺たちを見つけたクラスメイト達をチートによるごり押しをしながらボコボコにして————
この世界の、いわゆるラスボスを倒した。
そして自分を異世界に召喚した王族に元の世界に送還してもらった。
こうして自分の物語は終わった……はずだった。
自分の物語……いや、問題はその後が本番だった。
元の世界に戻った自分は、異世界にいた時と同じような態度で周囲の接した。文句を言うなら力で押さえつけ、叩きのめす。自分の意見が通って当たり前。否、通らなきゃ可笑しい。
だが、自分のそんな日々は初日から終わった。
なんてことなかった。自分たちを召喚した王族は自分たちを元の世界に送還するとき自分たちの世界の理を乱すまいと、自分たちのステータスを召喚される前に戻したのだ。つまり————
元の世界に戻った時点で、自分は無能で馬鹿で不細工な陰キャキモオタに逆戻り。
自分が絶望するのに時間はかからなかった。
クラスメイト達の、特にその中の所謂不良に属する者たちに俺は叩きのめされた。
全身青あざだらけ。歯も折れ鼻血と涙と鼻水とよだれを垂れ流しながらその場で全裸で土下座させられた。その際、自分は彼らに生意気なことをしてごめんなさい。ごみの分際で人面してごめんなさい。そう、言わされた。その様を録画され、何かあればそれで脅され、弄ばれた。
こんなはずじゃなかったのに…!
なんて思いながら、ついに自分は逃げるように家に引きこもり、そのまま自主退学。
高校中退に引きこもり。おまけに自尊心やらは身の程知らずなレベルで高い。まともな就職なぞ、できるわけなかった。完全な社会不適合者だ。
そうして、その挙句の果てが今だった。
今なら何が原因なのかわかる。すべて自分自身がまいた種。完全な因果応報、自業自得。
厚顔無恥なのは分かっている。だが、それでももし叶うのなら————
ちゃんとやり直したい。そう、思う。
もしこれを使って書きたい人は私にメッセージをどうぞ。