太陽神、超新星爆発、そして姉。
燃えるような、赤い髪もたくわえた頭をオリーブの冠が縛っている。青い眼は、穏やかな海を思わせるがその奥には激しさが光となって宿っていた。口元には自然な笑みを浮かべている。白いギリシャ風の服がその長身には良く似合う。
「神!!僕を創造していただいたこと深く感謝しております。」
さすが、太陽神熱い。体温が1度ほど上がった気がする。しかし、その声は何とも穏やかな響きを持っており、聞くものの心を暖めるだろう。そう、結局、暑くなるのだ。
「礼には及ばんよ。私も寂しかったところだ。」
「神!!肩をお揉みします!!」
「そうか、なら、お願いしようかな」
世界を創造したばかりで、疲れている私への暖かい気遣いである。暖かい。心のみならず、太陽神は指までも暖かい。肩に、ほどよい刺激が与えられる。血行が、よくなってゆく。気持ちいい。。
「いたっ」
少し、力が強くなったことに驚いて、つい声が出てしまった。無論、実際に痛かった訳では無い。その時から、肩が震えるのを感じた。そう、太陽神の指が震えていたのだ。バイブレーション機能でもあるのか?と聞こうと振り返ると、太陽のように赤みを帯びていた太陽神の頬が、なんと真っ青になっていた。今にも泣きそうだ。体温も氷のようだ。
「お、おい、太陽神?大丈夫か、、、」
「申し訳ありません、、、神!!」
これが世界初の土下座である。後世に手本を残すかのように、見事な土下座である。
「お詫びに自らの身を焼き尽くして、超新星爆発しようと思います。」
「お前!いいって!!痛くないから!!やめて、この星も、死んじゃうってば!!」
私は思わず叫んだ。最も全知全能たる私にとってこれを、止めるのは容易い事だがそんなこと忘れていた。頭上の太陽をみると、やばいくらい輝いていた。太陽神たる彼の身体と太陽は完全にリンクしている。今にも、爆発寸前だ。助けて、神様!!
「太陽、どうしたの?」
女性の声だ、囁くように小さな声である。その瞬間、急に地上が暗くなった。空を見上げると、太陽がなにかに覆われている。
「姉さん、、、」
太陽神の声に正気が宿る。
「あなた、また超新星爆発しようとしてたの?」
寝ている赤ん坊を起こさないようにきづかうように、静かな声だ。てか、前にもしようとしてたのかよ。。
声の主を見ると、美しい。金色の長髪の頭をオリーブの冠で縛っている。太陽神と同じような瞳の色だが、そこに激しさはなくどこまでも穏やかだ。スラリとした長身で、体に凹凸が少ない。
「 その癖直したほうがいい。」
「申し訳ない。姉さん」
「私がいなかったら何度、星が壊れてると思ってるの?神様にも謝りなさい。」
太陽神は本当に申し訳なさそうに深深と頭を下げた 。この一連の会話の間も女神の表情に一切の変化はなかった。彼女の顔をもう一度、凝視した。なるほど、太陽神との間に相似点が多く見られる。発言の内容から見ても、二人が姉弟であることは間違いないだろう。まじまじと、その美しさを観察していると、女神がこっちを向いた。思わず、ドキリとしてしまった。