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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第一章 レッド・サンライズ

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五十四話 レッド、約束する

 

 決勝戦は、日が暮れる寸前にようやく開始されることになった。

 ロンドの治療をクレアさんがしていた為に、僕の治療(正確にはゴーレムの治療)が遅れたからだ。


 治療中に、ロンドの容態を訪ねると、クレアさんは困ったような顔をした。

 助かるかどうかわからない、といったところだろう。


「それでは、これより決勝戦を始める。レッドとハク、闘技場に上がってくれ」


 試験官もロンドを心配しているのか、襲撃に怯えているのか、顔色が優れない。

 早く試験を終わらせ帰りたい、そんな声が聞こえてくるようだった。


「約束通り、全力で」


 向かい合ったハクは、やはりゴーレムの中に入っている僕を見ている。

 魔法が使えないハクは、それでも強くなることを諦めず、独自に魔力や気配を探る(すべ)を学んできたんだろう。

 どこか、僕やハナさんに似ているような気がした。

 転生子(てんせいご)のハナさん。

 転生子に間違えられた僕。

 魔無し子(まなしご)のハク。

 みんな、この世界に拒絶されながら、必死に生きている。


 ハクを生かしておくのは、僕にとってリスクが大き過ぎる。

 復讐(リベンジ)君も言っていた。

 正体を知られた者は、たとえ、愛する者でもぶっ殺せ、と。

 別にハクを好きになったわけじゃなかった。

 おっぱいは小さくて、全然僕の理想じゃない。

 でも、出来れば殺したくない、そう思ってしまっていた。


「……この試合で僕が勝ったら」


 僕はある条件をハクに突き付けることにした。


「一生、僕についてきてもらう」


 ハクがこの条件を飲めば、殺されなくてすむ。

 こんな口約束は破ろうと思えば、いつでも破れる。

 だけど、ハクは約束したら、きっとそれを破らない。

 そう僕は確信していた。


「え? ちょっとまって」


 しかし、ハクの反応は意外なものだった。

 これまで、ずっと無表情だったハクの顔が、みるみる真っ赤に染まっていく。

 こんな条件を突き付けたことに怒っているのか?

 それにしては、僕と目線を合わさずにモジモジと身体をくねらせている。


「……年齢的にアウトじゃないの? いや、未来を見据えてのことなのかな? だいぶ姉さん女房になってしまうけど、大丈夫なのかな?」


 しばらく訳のわからないことをぶつぶつと呟いていたが、やがてハクはキッ、と僕を睨みつけた。


「いいわ、負けたらワタシは、一生キミについていく」


 よかった。これでハクを殺さずに、僕の部下として雇うことができる。


「そ、そのかわり、ワタシが勝ったら、この話はなしだからなっ。ま、まあ友達から始めるなら、考えないこともないけど……」

「うん、わかったよ」


 やはり、怒っているんだろうか?

 ハクの顔は真っ赤に染まったままだった。






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― 新着の感想 ―
[良い点] ショタどころか乳幼児でもええんかハクさん(´・ω・`)ゴウガフカイゼ
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