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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第一章 レッド・サンライズ

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四十話 ロンド、観戦する

 

「ルールは特にない。致命傷でなければ、多少の怪我も直してやれる。持てる力を全て使い、全力で戦え」


 闘技場の中央でレッドとベンが対峙する。

 ベンは体格こそ細いものの、かなりの高身長だ。

 だが、そんなベンが見上げるほどに、レッドはさらに大きかった。

 魔法を使わない肉弾戦なら、多少鈍くとも良いところまでいけただろう。

 だが、魔法を使う者からすれば、レッドは当てやすいただの大きな(マト)だった。


「大地の力よ、我が牙となり、敵を貫け」


 ベンは素早く詠唱を行い、地面から土の(やり)を創り出す。

 流れるような動きで、土の槍はベンの頭上に浮かび、そのまま高速でレッドに向かって飛んでいく。


 一瞬で決着がつく、そう思った。

 レッドの動きでは、土の槍をかわすことなど出来ないだろう。


 だが、レッドは小さな声でブツブツ言いながら、素早く背中の(おの)を抜き、土の槍を弾き飛ばす。


「……加速の風魔法か」


 レッドが唱えたのは、レベルの低い風魔法だった。

 独学で学んだのだろうか、詠唱はめちゃくちゃで威力が低い。

 自分の動きの鈍さをカバーするために、覚えたのだろうが、かなりお粗末なものだった。

 自分の属性である風魔法を使って、ようやく人並みに動ける。それがレッドの印象だった。


 そして、見込んでいた通りに、ベンは優秀だった。


「我は繰り返し求む。貫け、貫け、貫け」


 復唱魔法。

 同じ魔法を唱える時に、詠唱を簡略化する高等技術だ。

 ベンの前に先程と同じ土の槍が三つ出現する。


 今度こそ、決まった。

 レッドの動きでは、風魔法で加速しても三本の槍は防げない。


 しかし、ここでもレッドは予想を覆す行動に出る。

 防御を無視して、ベンに向かって走り出したのだ。


 完全な玉砕攻撃(バンザイアタック)にベンは一瞬戸惑ったが、それでも土の槍を三本とも解き放つ。

 それぞれが、レッドの右肩、左足、脇腹をえぐったが、ベンに向かって迫るレッドのスピードはまったく衰えなかった。


 動きだけではなく、痛覚も鈍いのだろうか。

 レッドの表情はあれだけのダメージを受けても、無表情のままだ。

 ベンの眼前まで迫り、レッドは巨大な斧を振りかぶる。

 それでも、ボクはベンの勝利を確信していた。


「大地の力よ。我が盾となり、守りたまえ」


 ベンの前の大地が盛り上がり、土の壁が出現する。

 レッドが振り下ろした斧は、壁に弾かれ、ベンはにっ、と笑った。


 まあ、少しは善戦したほうだな。

 確実に入団試験は不合格だと思っていたが、肉の壁としてなら、レッドを採用してもいいかもしれない。


 ベンは余裕を持って、ゆっくりと後ろに下がる。

 後は距離を取って、土の槍で狙い撃ちするだけだ。

 頑丈そうなレッドでも、あと数発喰らえば動けなくなる。

 すでに勝負はついた。

 ボクだけではなく、ここにいる誰もがそう思っていただろう。



「それまで、勝者レッドっ!」


 すべての者が唖然(あぜん)となる。

 戦いは誰も予想していない形で決着がついた。






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