二十八話 赤さん、判明する
街から帰ってきて一週間がたった。
すぐに引っ越しすると思ったが、準備に時間がかかるそうで、しばらくは外に出ず、僕達は隠れ家で、身を潜めていた。
ハナさんは、あれから毎日、僕に色々なことを教えてくれる。
魔法だけではなく、パソコンという機械で別世界の知識も勉強させてくれた。
「ハナさん、僕、別世界の文字は読めないよ」
「覚えろ。アカは頭がいいからすぐにできる」
パソコンにアマゾーンの注文画面が出ているが、何が書かれているか、さっぱりわからない。
ただ、字の横に精巧な絵が書いてあるので、何を売っているのかは、よくわかった。
「これが注文確定のボタンだ。ちょっと押してみろ。違う。画面を押すんじゃなくて、そのマウスの左側を押すんだ」
言われた通りにやってみたが、画面にエラーの赤い文字が浮かび上がる。
「ダメか。操作はできるが、注文は私しかできないのか」
「え? 僕に注文をさせようとしていたの?」
「ああ、私がいない時に、オムツやミルクがきれたら困るだろう」
「ハナさん、また出かけるの?」
「いや、予定はないけどな」
意識しているのか、いないのか、ハナさんは最近、自分がいない時のことをたまに話す。
僕はその話がなんとなく嫌で、それ以上この話はしなかった。
「まあ、注文は出来なくても、文字は覚えたほうがいい。別世界の知識はここでも役に立つ」
「このパソコンで知識が学べるの?」
「そうだ。ウィッキーペディアというものがあって、わからない単語を打ち込むと、その情報を教えてくれるんだ。インターネットの百科事典みたいなもんだ」
またわからない言葉がどんどん出てくる。
だけど、おかしい。
知らない言葉なのに、一つの言葉が妙に頭に残る。
「ねえ、ハナさん。ウィッキーペディアのこと前に話した?」
「いや、今日が初めてだぞ」
「そうなんだ。なんでだろ。すごく気になるんだけど」
「ふむ。アカの頭に入ってくる知識のスキルと似てるからじゃないか。アカのスキルもウィッキーペディアみたいなもんだろ」
ハナさんにそう言われた瞬間、頭の中で何かが弾けた。
僕の何かが変わったような気がして、慌てて自分の情報を確かめる。
名前 アカ・サン(仮)
種族 人間
年齢 0歳と十日と五時間
職業 転生子の養子
装備 ベビー服 (ブルー)
アイテム 藁の籠
おっぱい好き率 常に100%
スキル ウィッキーペディア
体力 12/15
魔力 157/200
魔法属性 無属性
魔法レベル
火 2
水 5
風 7
地 8
光 5
闇 1
文字化けしていたスキル【くぁwせdrftgyふじこlp】が【ウィッキーペディア】に変わっている。
僕の知識スキルの名前がついに判明した。




