二十四話 赤さん、戦闘する
何十本もの矢が降り注ぐ中、ハナさんが早口で詠唱する。
これまでの短い詠唱ではなく、かなり長いものだったが、早すぎて聞き取ることはできない。
「アカ、つかまっとけ」
ハナさんの周りを覆っていた竜巻がさらに強くなり、降り注ぐ矢を次々と弾き飛ばす。
しかし、一本だけ光を纏った矢が、風の壁を突き抜け一直線に飛んできた。
「光の矢かっ!」
『ハナさんっ!』
それは咄嗟に出来たものだった。
ハナさんを守りたい一心が氷の塊を作り出していた。
拳大の小さな氷は、ちょうど光の矢が飛んできたハナさんの顔の前に出来上がる。
二つが激突して、ぱーーんっ、と氷が砕け散った。
「やるじゃないか、アカ」
ハナさんはそこまで魔法が得意ではないと言っていた。
敵に魔法を使うものがいる時点で、かなりまずい状況なはずだ。
それなのに、どこかまだ余裕があるような表情を浮かべている。
門の上では、弓矢を構えた兵士達が第二射の準備を始めていた。
「カート、門を開けろっ。今なら誰も傷つけず出て行ってやるっ」
「む、無理だ、フラ。そんなことをしたら俺はここで生きていけないっ」
「そうか、残念だ。せめて、姿勢を低くしてしゃがんでいろ」
いつのまにか、ハナさんの手に黒い筒のようなものが握られていた。
それが何かはわからない。
情報が入ってこないということは、アマゾーンで注文した別の世界の物なんだろう。
だけど、それを見た時、なんだかとても禍々しく、嫌なもののように感じてしまった。
「早く放てっ! あれは別世界の武器だっ!」
光の矢を放った一番偉そうな奴が、そう叫んだ瞬間だった。
ハナさんが持っていた黒い筒が爆音と共に火を吹いた。
ドドドドドドドドッ、と響き渡る音と共に、大量の黒く小さな塊が門の上にいる兵士達に向かって飛んでいく。
それは僕達に降り注がれた矢とは、比べ物にならない程の凄まじいスピードだった。
光の矢を放った偉そうな奴が、慌てて光の盾を作り出したが、それはまるで意味を成さなかった。
小さな塊は、光の盾ごと偉そうな奴を貫いていく。
鎧や兜も関係なかった。
兵士達に当たった小さな塊は、まるで勢いを止めず、見えなくなるまで飛んでいく。
門の上で穴だらけになった兵士達がバタバタと崩れ落ちた。
「すぐに全弾撃ち尽くしてしまうところが欠点だな」
ハナさんは、黒い筒を革鞄にしまって、再び詠唱する。
フワッ、とその身体が浮き上がった。
「飛んでいくから、もう門は開けなくていい。今まで世話になったな、カート」
門番のカートは地面に伏せながら、ハナさんの方を見ずにただ震えていた。
本日四話目
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