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転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
プロローグ アカとハナ

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二十三話 赤さん、閉鎖される

 

「さて、どうするかな」


 僕の家族、ガレア家の話をしてくれたハナさんは、少し悩んでいるようだった。


「このまま、街にアカの出生届を出そうと思っていたが、不味いかもしれないな」


 確かに、僕を捨てたのは、この街を支配しているガレア家だ。僕が誰かに拾われていないか、調べているかもしれない。


「まあ、すでに門番のカートにも知られてるから、同じかもしれないな。バレたらバレたで、引っ越しでもするか」

『ごめん、ハナさん。僕のせいで』

「気にするな。ちゃんと倍返しで返してもらう。それに引っ越しには慣れている。同じ場所に長くいると、私も転生子と疑われるからな」


 ハナさんは、これまでも色んなところを転々としてきたみたいだ。

 ずっと一人で生きてきたのだろうか。

 それは、とてもさみしいことのように思えた。


「よし、今日はこのまま帰るか。面倒くさいことはまた今度考えよう」

『う、うんっ』


 自分を捨てた家族が、厄介な街の支配者だったのに、ハナさんは、そんなに気にしている様子もなかった。

 ハナさんといると、僕はこれからもなんとかやっていけるんじゃないかと思えてくる。


 だけど、それが甘い考えだったということを、僕はすぐに思い知らされる。


「ん? なんの騒ぎだ?」


 街から出ようと、入り口の門に近づくと、そこには十人ほどの人だかりができていた。


「どういうことだ。なぜ外に出れないっ」

「いい加減にしろっ。夕方までに商談があるんだっ」


 通行止めをされているらしく、街の人々から怒声が飛び交っている。


「すいません、上の方からしばらく門を封鎖するように言われて。すぐに解除されると思うので、もうしばらく待っててください」


 対処しているのは、来たときに話した門番のカートだった。

 完全に門を閉鎖したから、外にいる意味がなくなり、中に入ってきたのだろう。


「何があったんだ、カート」

「ああ、フラか。いや、それがさっき伝達が来たばかりでさっぱりわからないんだ。門を閉じて、しばらく絶対に誰も外に出さないように言われている」

「……それは、ガレア家からの伝達か?」

「ああ、そうだ。絶対命令の執行だ。まったく、理由くらい教えてほしいぜ」


 ハナさんがちっ、と舌打ちした。


『あの糞蜘蛛(くそぐも)、裏切りやがったな』


 口には出さない、ハナさんの思考が僕に流れてきた時だった。


 門の上で、キラッ、と一瞬何かが光り、それがハナさん目掛けて飛んでくる。


『ハナさんっ!』

「ああっ、わかってるっ!」


 ハナさんが素早く詠唱すると、身体の周りに大きな竜巻が発生する。


 飛んできた何かが、その風にばちん、と弾かれ地面に落ちる。

 それは鋭く尖った鉄がついた、弓矢の矢だった。


 飛んできた方向を見ると、門の上に弓矢を構えた兵士がずらりと並んでいた。


「フラ・ワー、及び、その赤子に転生子(てんせんご)の疑いがかかっている! よって、これより両名を処刑する!」


 弓を構えた兵士の中でも、一番偉そうな奴が手を挙げる。

 今度は全員がハナさんに向けて、弓矢を構えた。


 門の前に集まっていた人々が、悲鳴をあげて逃げ出す中、門番のカートだけがその場に呆然と立ち尽くす。


『ハ、ハナさん』

「ふん、心配するな、アカ。こういうのにも慣れている」


 そう言って、ハナさんは僕に向かって笑いかける。


 それと同時に大量の矢が僕とハナさんに向かって放たれた。






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