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二話 赤さん、捨てられる

 

 捨てられた。

 本当に山に捨てられた。

 (わら)で作られた(かご)に入れられ、タオルが一枚被せられている。

 生まれたての姿だ。服もない。

 おちんちん丸出しである。

 山に捨てたメイドらしき人物も、まるで汚いものを見るような目で僕を捨てていった。

 くそう。ちょっと賢いだけの可愛い赤ちゃんになんてことしやがる。

 いや、自分でいうのもなんだが、ちょっと賢いどころではないな。

 だいぶ賢いはずだ。

 こうしている今も、疑問に思ったことは、情報として次々と頭に流れてくる。

 あまりの情報過多に処理が追いつかないほどだ。


 何故、僕はこんな知識を授かったのか?

 ほとんどのことは勝手に頭に入ってくるのに、その情報だけはまったく入ってこない。

 本当は記憶がないだけで、僕は転生子なのではないだろうか?

 そう思った瞬間に、否定を知らせる情報が頭に入ってくる。


 名前 赤さん(仮)

 種族 人間

 年齢 0歳と2時間

 職業 捨て子

 装備 タオル一枚

 アイテム 藁の籠

 転生子の確率 0パーセント

 スキル くぁwせdrftgyふじこlp


 どこから突っ込んでいいものか。

 まず、名前が赤さんになっている。

 赤ちゃんでは、もうダメなくらい賢いということなんだろうか。

(仮)もついてるし、さらに賢くなったら、また変わるんだろうか。なんか、嫌だなぁ。

 そして、転生子の確率はやはり0パーセントだったが、最後のスキルというところが、おかしくなっていた。

 意味のある言葉には思えない。

 恐らく、このスキルというのが流れてくる知識に関係しているのだろう。

 そのことについては疑問に思っても、まったく答えは出なかった。


 とりあえず、この知識については、ひとまず置いとこう。

 やがては謎を解明したいが、今はそれどころではない。

 そう、まずは生き延びなければいけないのだ。

 自分の今の状況を冷静に分析する。

 場所は人里離れた山奥。

 周りには長く伸び切った草しかない。

 季節は秋が終わったばかりの少し肌寒くなってきた冬。

 状況はまさに絶体絶命だった。

 どれだけ知識があろうとも、身動き一つできない自分が助かる道はほとんどないのではないだろうか。

 夜になって寒くなれば、タオル一枚では何日もしのげるとは思えなし、食料もない。もって二日くらいだろうか。

 奇跡的に何者かが通りかかり、救ってくれるくらいしか生き延びる方法が見当たらない。



 大声で泣いて助けを呼ぼうと思ったが無駄なことに気づいてやめる。

 ここら一帯には人の気配はない上に、生えている草から新たな情報が入ってくる。


 名前 エルレ草

 種類 雑草

 食用 不可

 追記 12時間前、獣に踏まれた


 どうやらここには獣が現れるようだ。

 大声で泣き出せば、その声に気づいた獣が喜んで僕を食べに来るだろう。

 僕の生存率は一体どれくらいあるのだろうか。

 知りたくないのに、思わずそんなことを考えてしまった。


 赤さん(仮)の生存確率

 たらららららららら……


 なぜか頭の中に効果音が流れてくる。


 どんっ!


 0.001パーセント(笑)


 絶望的な数字と(笑)に、僕はぶちギレた。


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