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十七話 赤さん、お出かけする

 

 えらいことになった。

 僕の目の前に、あの大きな二つの物体がある。

 おっぱいだ。

 超至近距離におっぱいが存在している。


「おい、触ったら殺すぞ」

「う、うん。わかったよ」


 ハナさんは幅広の布をたすきがけの要領で肩にかけ、その中に僕を入れた。

 抱っこ紐というものらしい。

 触らなくても、ハナさんが移動するたび、おっぱいが揺れて顔に当たる。

 この柔らかさは、素晴らしいものだと素直に感動した。


「変なことを考えても殺すからな」

「う、うんっ。大丈夫だよっ」


 なるべくおっぱいのことは考えないようにしよう。

 そう思って、今度は周りの風景を見ることにする。


 ハナさんは風魔法を使いながら、凄いスピードで山を降りていた。

 ハナさんの家に連れてこられた時は、山の景色など見る余裕はなかったけど、今は安心して見てられる。

 山は落ち葉と、枯れる前に色を変えた葉で、幻想的な赤に染まっていた。


「お前の色だな」


 ハナさんが小さく呟く。


「赤色だ」


 その時の感情は、たぶん知識では測れない。

 僕はハナさんがそう言ってくれたことが、すごく嬉しかった。

 転生子と間違えられて、名前も付けられず、両親に捨てられた僕は、誰からも必要とされない存在だった。

 ハナさんは、そんな僕にアカという名前をつけてくれて、赤く染まる山を僕の色だと言ってくれる。

 それだけで僕はハナさんの側にいてもいいように思ってしまった。


「そうだね。僕の色だ」


 光魔法を使っているのに、景色がボヤけて見えた。

 僕は自分が泣いていることに、しばらく気が付かなかった。



 山から降りた後、ハナさんは風魔法を停止して、ゆっくりと歩き出した。

 山の麓から整備された道が続いており、この先に街があることがわかる。


「ここからは喋るの禁止な」


 ハナさんにそう言われて、黙って(うなず)く。

 ぷにっ、とおでこがおっぱいに当たり、思わずニヤけてしまう。


 ぎゅーーっ、とほっぺをつねられた。


「赤ちゃんらしくない顔も禁止だ」

「ばぶっ」


 今度は頷かず、赤ちゃんっぽく返事した。


「それもなんだか不自然だな。そうだ。最初の時みたいに風魔法で思念を飛ばせ、ただし、私にだけだ。それなら他の奴には聞こえない」

「え? ハナさんにだけ聞こえるようにできるの?」

「普通はそういう魔法だ。あの時は助けを呼ぶために無差別に思念を飛ばしていたから、狼までやって来たんだ。今度は私にだけ聞いてほしいと願ってみろ」


 なるほど。そっちのほうが確かに魔力を使わなそうだ。

 ハナさんに、僕の思念が聞こえるように、風の精霊にお願いする。


 どう? 聞こえる?


「ああ、聞こえる。他にも漏れてない。会話はこれでするぞ」


 けどこれ他の人が見たら、ハナさん、ぶつぶつ独り言をしゃべる危ない人だよ。


『大丈夫だ。人前なら私も思念を飛ばす』


 ハナさんが、聞こえないくらいの小声で詠唱をすると、ハナさんの考えていることが直接頭に入ってきた。

 そうだった。風魔法を得意とするハナさんなら、僕が使える風魔法を使えないはずがない。


「じゃあ、行くぞ、アカ。ヘマするなよ」

『はい、ハナさん』


 思念を飛ばして返事をする。


 街道の少し先に、大きな街が広がっていた。



 

ここまで読んでくださった読者様、ありがとうございます!

ブクマ、評価して頂いた読者様、大大大感謝です。

おかげさまで日間総合49位、

ハイファンタジー15位になりました!


明日は朝九時と夜九時に一話ずつ投稿予定です!


「ちょっと面白い」

「応援したい」

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と思って頂けたら、

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感想やレビューも超熱望しております。


ここが正念場だと思います!

ハイファンタジー10位以内に入れるよう、どうか応援してやって下さい!

よろしくお願い致します!


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