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窮屈な世界のかけら

作者: たくみ

 自分の中に確たるものが無いからこそ、周りに満ち溢れていたものを繋ぎ合わせて形にした何かで取り繕いながら、自らの外面を作り上げてきたという自覚がある。

 それは周囲からの干渉に怯えて距離を置く為の壁であり、そうまでして身を守ってきたのは過剰な言葉や態度によって相手を従わせるやり方を目の当たりにし、これを嫌悪感という形で受け止めたからだ。

 日常的に同じ枠組みの中での生活を余儀なくされる環境の中で、威圧的な手段で同調を強いる行いが一定の成果をあげる選択肢の一つと理解していても、怒声や怒号によって従順を強要される対象が自分であったならと想像したとき、これに抗うイメージを抱くことが出来ずに潰されてしまうだろうという結論に達したのが、その理由である。

 周囲に対して取り繕うという行いは、自分を押さえ込んででも周囲への配慮を優先することでもあり、周りの助け無しに自分一人で事を成し遂げられるものは決して多くないと自覚している証であり、だからこそ周囲を傷付けてでも自分の意見を通そうとする者の考え方を察することが出来なかったのだ。

 しかし同じ枠の中で生活をしている以上は、そうした考え方の違う者との付き合い方を考えなければならない局面が来ることもあるだろう。


 そうなった時に自分は、成すべき事を成すことのできる人間になっていられるだろうか。


 将来への期待以上に不安を抱えたままの自分には、今目の前にある問題以上の何かを解決できる能力を持ち合わせていないということを、他ならぬ自分自身が誰よりも深く理解している。

 これからの日々の積み重ねがその穴を埋めてくれると信じられるほど楽観的になれないというのが、今の自分自身であることは揺るぎ無い事実だ。

 それでも日は巡り、やがては自らの不安の根元となるものと対峙する瞬間はやがてやってくるだろう。

 その驚異を前に、不安を隠しながら一つ一つの問題に取り掛かっていくしかない自分の姿は周囲にどう映っているのか。

 自分自身はそんな在り方をどう感じているのだろうか。

 来るべき時は容赦なく近付いているという事実を前に、自分は消えない不安を抱えたまま、それでも自分の意思でこの道を進んでいくしかないのだと、それだけは心に決めて不安と向き合う日々は続いていく。

 それは窮屈な程に狭い、それでも結論が見えない程度には深い、自分の”せかい”と向き合う為の、自分なりの方法であった。

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