表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様がいない異世界新生活  作者: 出佐由乃
ユズ市の道具屋 編
7/42

7 周辺散策

 いやいや、まだここが異世界と決まったわけではない。

 まだ日本にだって『圏外』の場所だってあるよ。ここは林の中だし、人が住んでる気配はないし。

 ……電池がもったいないからスマホの電源を切る。


「とりま、ここが元の世界だった場合、電波の届く場所に出れれば安心。異世界だった場合……」


 咲に読まされた小説では、異世界に来たら遭遇イベントが発生する、っていうのが多かったあとは歩いて行ける距離に町があって、門番に身分証の話を聞かされてギルドに向かって……

 遭遇イベント……遭遇するのは魔物だったり、盗賊だったり、旅を共にする未来の仲間だったり。

 魔物や盗賊は勘弁してほしい。私は身体能力は元の世界の平均以下。武器もないし、チート能力も授かってない。

 ……ナイフくらい装備しておくんだった。元の世界に戻れると思って、荷物は全部置いてきたから。


「どちらの世界にいるにしろ、移動してみないことには何も始まらないかぁ……ん?」


 池の私がいる縁の反対側に棒状の物があるのが見える。

 池をぐるりと周って近くに寄ると、それはピッケルだった。


「あれ?これは確か元の世界に置いてきたはず……ワンゲルの部室にあった古いピッケル……」



 私は太陽と同じ方向に歩き出した。

 目印にと、短くなったロープを二本の木を渡すように結び付け、フィンをロープに吊るした。見える限りどこまでも平坦な林だ。目印が無ければここに戻ってくるのは難しいだろう。



 しばらく歩いていると、平坦だった地面が少しずつ下り坂になってきた。

 フィンを外した足は何も履いていない。つまり裸足。落ち葉や枯れ枝で滑るし、転びやすいし、とにかく痛い。ピッケルを杖代わりにして歩く。

 獣道があるかも、と周囲を見渡してみたが見つからなかった。それはそれで、危険生物の存在する可能性が低いということではあるのだが。

 歩みが遅くなる。

 体力も身体能力もない私にはまずい状況だ。

 今は涼しいくらいの気温だから問題ないが、夜になったら流石に冷えるだろう。氷点下に達することも考えられる。そうなったら間違いなく凍死だ。

 テントやシュラフ、マッチなんかは元の世界に置いてきてしまった。一晩、この場所で越すのは不可能だ。

 いきなりピンチだ。ここが異世界だろうがなかろうが命の危機だ。

 幸い、まだ日は昇っている。気温も上がっている。

 日が沈む前に電波の届くところか、人の住む場所に辿り着かなければならない。

 ……背筋がすぅーっと冷える。

 ずるっ


「うわっ!?」

 ガザサササ


 足を滑らして尻餅をついた。考え事をしていると周りが見えなくなるのは悪い癖だ。

 普通のアスファルトの道でさえ躓いて転ぶのだ。足場の悪い下り坂で大丈夫なわけがない。


「いてて……」


 ピッケルを支えにして立ち上がったときだった。


 ドゴオオォォォンンン……


「っ!?何、今の音は!?」


 爆発でも動物の鳴き声でもない。質量の大きな物体が硬いものに勢いよくぶつかる音。

 まだ距離があるから確実とは言えないけど、音の方角はおそらく進行方向。

 此方に来てから初めての大きなイベントだ!


やっと新キャラ登場だよ!

楽しみだねー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ